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□透き通った
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サイダァみたいに甘い恋をして、軽い愛が欲しい、と彼は笑う。
でも、お前が相手を見ない限り、相手もお前を愛さないよと俺は言う。
それでいいじゃないですか、と氷の入ったグラスをストローでくるくるかき混ぜる仕草をじぃっと見てた。
妙な気持ちだ。
綺麗な純愛は映画の中だけで十分ですと虚を見て一口サイダァをすする口は弧を描く。
そんなもの、と言うスンリの目が少し悲しげに見えた。錯覚だろうか、きっとそうだろう。
テソンヒョンは相思相愛の美しい愛でも綺麗な恋でも追いかけてりゃいいんですよ。貴方にはそのくらいがにあってます。
そう言ったスンリのグラスは空だった。
俺もグラスを手に取ると、結露でグラスの表面が濡れていた。
口に運んだアイスコーヒーがやけに苦い。
自分の言ったことを思い返して少し笑いそうになった。
俺は俺を見ない彼を愛してる。
「透き通った」
(カラン、と氷が音をたてて溶けた)