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□愛が罪だと言うならば
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寂しい、寂しい。
痛いくらいに軋む胸。

すやすや寝るテソニヒョンの横に潜り込んだ。

「テソニヒョン」

小さい声で呼んでみる。
どうせ起きないのはよく分かってる。

「ん…」

眠りが浅いのか、俺に背を向けるようにして寝ていたヒョンが寝返りを打つ。
ちょっと嬉しくなって、もう少し近寄ってテソンヒョンにぴったりくっついてみる。

「よ、と」

ヒョンの腕を自分の上に回してヒョンにすっぽり包まれる体制をとる。
ヒョンの胸に手を当てると心臓の規則正しいリズムが聞こえた。

温かい、というか少し暑いくらいだけど安心する。

「ヒョン、あのね」

そこまで言って、自分の声が震えていることに気が付いた。
ヒョンは寝てるのに。
それでも言うのは怖いんだな。

「愛してます」

ヒョンの胸に顔をうずめて小さな小さな声でつぶやいた。
よく分からないものが込み上げてきて、嗚咽が漏れそうだったけど堪えた。

呼吸を整えて、もう一言。

「ごめんなさい」

ごめんなさい。

もう耐え切れなくて涙がぽろぽろ溢れて。
でも唇は固く閉じて。

愛してます。

悲しくて泣くのか、苦しくて泣くのか、何で泣いてるのかすらよく分からなくなって。
ただ、自分の想いを何度も何度も確かめては泣いた。

願わくば何も知らないでいてください。

我ながら馬鹿みたいだ。
そんなこと一番自分が知ってる。

必死で目を背けようとするけど、止まらない涙が自分に嘘はつけないって言ってるみたいで、悲しくなった。



『愛が罪だというならば』



(どうか赦さないで)

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