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□味方
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「ねぇーヨンベー聞いてよー」
「何?」
こうやってジヨンが後ろから抱きついてくる時は顔を見られたくない時だ。
よく知ってる。
「あのね、この前タッピョンと話しててね、親孝行の話になったんだ。」
「うん。」
そういう真面目な話もするんだね。
でも、ヒョンはマザコン気味だし、分からなくもない。
「俺達って親不孝かなぁ?」
自信無さ気な声。
そりゃそうかな、今はちゃんと成功もして、安心させてあげられてるけど、いっぱい迷惑もかけたし心配もさせてただろうし。
「…さぁ。ジヨンはどう思うの」
「分かんない。」
きっとこの綺麗な友人は困った顔をしてるんだろう。
泣きそうな顔してるんだろう。
「…」
何も言わない代わりに、ジヨンの手にそっと手を添えてみる。
言わない、じゃなくて言えないだけなんだけど。
「ただ、…ただね」
違うでしょ、いっつもジヨンは言いたいことを何でもないことみたいに誤魔化そうとするんだから。
「俺の子供を見せてあげて安心させてあげられないんだな、って」
「……」
「そう思ったら寂しくなっちゃって」
この可哀想な友人に俺はなんて言ってやればいいんだろう。
どうやって煙に巻いてあげればいいんだろう。
彼はきっとそれを求めてるのに。
「ジヨン。」
「うん」
「自分を責めちゃだめだよ。」
ありきたりのコトしか言ってあげられない自分が憎い。
歯がゆい、もどかしい。
「…う、ん」
ああ、泣かせちゃった。
やっと振り向いてジヨンと向き合う。
やっぱり頬に何筋も涙が伝っていた。
細い背に腕をまわし、あやすように軽くさする。
嗚咽こそ漏らさないけど、まだ涙は止まってくれない。
「泣かないで」
ジヨンに泣かれると、俺がきっとヒョンにどやされる。
そしたらきっと惨めになるから。
「俺はジヨンの味方だから、ね?」
祈るように絞り出した言葉に、ジヨンの腕の力が強くなって俺にしがみつくように泣きだした。
そうだよ、俺はジヨンの味方だから。
ジヨンに何があったっていつも隣に居るから。
「お願いだから、泣かないで」
怒って八つ当たりしてくれたっていい、拗ねてずっと俺を困らせてくれたっていい。
ジヨンの涙は苦手だから。
どうして泣いてるか教えてくれなくたって分かってしまうから。
『味方』
(ずっと待ってる)