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□牢獄
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「だって絶対的な、強いものには膝を折ったほうが楽です。」

何のためらいもなく裸足のつま先にキスを落とす金髪を眺めてため息をつく。
恭しく俺の脚に手を添えて跪いて俺を見上げてる。

「立つだけの気概もないくせに。」

「はい、無いですよ」

にっこり微笑んで彼は応える。

「…このドM。」

「何とでもどうぞ。」

あは、と開いた口。
笑わせてくれるよ

「俺ね、あなたに跪いているのが楽しいんです」

「じゃあ一生そうしてれば?」

俺の挑発なんて意にも介さず彼は軽々と俺を抱え上げ姫抱きにする。

「貴方の望みなら何でも叶えてあげます、貴方のためなら死すら厭いません。だからね、」

「だから?」

「貴方は、ヒョンは、俺だけのモノですよね?」

本当に愉快な事を問うてくるものだ。
彼の首にまわした手を頬に這わせて俺も答える。

「こんなのでよければいくらでもあげるよ」


俺の返事に少し驚いた顔をして彼はこちらを見る。加虐嗜好と傲慢を同じにしてもらっては困る。

「ずっと囲っちゃうかもしれません」

「いいよ」

「もちろん、不自由はさせませんけど」

「うん」

「いいんですね?」

「テソンが居ればそれで十分だろ?違う?」

ふふ、と笑ってみせると彼も笑った。

「俺だけの可愛いテソン」

そう言って軽いキスを落とすと、彼は決まってたまらないという表情を浮かべこう言うのだ。

「嗚呼、ヒョン。愛してます。」



『牢獄』



(誰のため、誰の、どっちの)

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