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□贈り物
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クラブの喧騒から少し離れたところで二人になった。

「ジヨニヒョン、あなたらしい誕生日ですね」

やけに大人びた様子でスンリは話す。

「…オレらしいって何」

グラスに入った酒を見つめながら返事をする。
照明がキラキラ反射してて綺麗だ。

「女の子とお酒に囲まれて、好き勝手で」

「お前だって好き勝手してるだろ?」

軽く拳でスンリの胸を叩く。
大袈裟に顔をしかめてスンリは言う。

「あなたよりマシですって」

へぇ、どの口が言うんだ。
うるさい口は閉じなきゃいけない。

軽く唇を押し付けて、すっと離れる。

「酒臭いです」

「高い酒なんだよ?」

俺と同い年の高いワイン。
誰からの贈り物だっただろうか。


「それより、お前全然飲んでないの?」

一番こういう場ではしゃいで羽目はずして怒られるのはおまえだろ?

「やだなぁ、ヒョン」

ちょっと口角を吊り上げて笑うスンリ。

「飲んでますよ?」

「ふーん、割に酔ってないよね」

いつもなら酔っちゃってハイテンションでベラベラ喋り倒してるのにね。

オレの思考なんてそっちのけでスンリの手が俺の腰に回る。

「そういうのは女にして来いよ」

「だからね、ヒョン。オレはヒョンに酔いたいんです」

目を細めるように笑った顔。

「…ったく、しょうがないな」

スンリと同じ表情で笑う。

「わぁ、ヒョン最高。愛してます。」



『贈り物』




(高い酒と安い愛)

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