Main2

□不純
1ページ/1ページ

*<手のひらのうえ>の続編


ジヨン

「なに?ヨンベ」

この前のお返し。

最初はきょとんとしていたが、すぐに話が飲み込めたようで、別にいいのにーとか言いながら駆け寄ってくる。

嬉しそうで何より。

「待て」をする子犬のように純真な目。可愛い可愛い俺のジヨンア。

「開けてもいい?」

ああ。いいよ。

別に俺の了承なんか無くてもいいと思うけどな。

ジヨンは壊れ物を扱うようにそーっと慎重に包みをほどく。

幾重にも包む紙を剥がし、そして最後の箱を開いて、中を見た途端綻ぶ顔。

今日のジヨンはとても素直だ。
細まる目も、つり上がる口角もとても愛らしい、いとおしい。

「ヨンベ、つけてよ」

うきうきした様子のジヨンの後ろに回り、俺からのプレゼント、リングのついたシルバーネックレスをかけてやる。

ジヨンの色の白いうなじが扇情的で、ちょっと危なかった。俺って変態?

リングを光にあててみたり、くるくる指で弄んだりと忙しそうだ。

「似合う?」

もちろん、似合ってるよ。

だってジヨンのことだけを考えて選んだんだから。

あー、好き、ホントに。

「ヨンベ、ありがとー」

一生つけとこうかな。

なんて微笑みながらいうものだから、思わず抱き締めてしまった。

細いとはいっても女とは違うしっかりした骨格。

可愛い、可愛すぎ。

そう言うとジヨンは「可愛くないよ」と言って目を伏せた。

目を伏せたままジヨンが囁く。

「大好きだよ」

俺も。
と言いかけてやめる。

この言葉を素直に受け取らないだろうから。

喉に引っかかった様な感覚。
水あめみたいなどろり、とした重み。
いくら噛み砕いても咀嚼し切れない恋慕。



なにも言えないままそっとジヨンの頬に触れる。



なんだか見た目より乾いてる気がした。



『不純』
(“俺”にとっては何よりも純粋)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ