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□いちご
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冷凍庫を開けるとそこには色とりどりのアイス。

バニラ、チョコ、ストロベリー・・・季節限定フレーバーまで様々。

いい大人が子供っぽいと言われようがアイスを選ぶのは至福の時間じゃないですか。

「俺のオススメはイチゴかなー」

「ジヨニヒョン!いつの間に。」

横からひょっこり顔を出して口を挟むヒョン。全然気づかなかった。

「イチゴいいですね。ヒョンはどうします?」

「おれもイチゴ〜!」

「あーでも、1個しかないですし、お譲りします。」

「いーじゃん。はんぶんこしよ。」

「じゃあ、スプーン2本取ってください」

「んー」

リビングのソファに腰掛け、ジヨニヒョンからスプーンを受けとる。

あれ

「ヒョン、スプーンは?」

「1本しかないよ?」

・・・かわいく小首かしげられても困ります。

「何で取ってこなかったんですか、取ってきますから先食べてて下さい。」

立ち上がろうとした俺の腕をジヨニヒョンが掴む。
ほっぺ膨らませてどうしました。

「違うって。テソナってば鈍いね」

「え?」

違うって何が?
だってスプーン無いと食べられないでしょう?

「だから、1本で十分なんだってばー」

いたずらっ子みたいにクスクス笑うヒョン。
イチゴアイスをスプーンで掬い、俺に突きつけてくる。

あ、なるほど。
・・・・なるほど。

「ほら、テソナ。あーん。」

「え、でも」

「ほら、あーん」

そんな顔で言われたら断るわけにはいかないじゃないですか。

「・・・あーん」

「ね、おいしい?」

「おいしいです。ほら、ヒョンも」

「あーん」

んー美味しいと目を細めるヒョンが可愛すぎる。自分より年上って本当は嘘なんじゃないか。

「テソナ、ほっぺたにアイスついてるよ。」

「どこですか?」

「取ったげるよ」

何となく展開の読めるようなその楽しそうな顔やめてください。
ヒョンは顔に出しすぎなんですってば。

「あ、はい」



「ん、取れた」



あ、何だ。
普通に指で拭われた。

「テソナどうしたの?」

何となく期待を裏切られたような肩透かしを食らった感じ。

当の本人はご満悦のニヤニヤ顔で指についたアイスを舐めている。

ねぇジヨニヒョン。あなた分かっててやってるんでしょう。

「ヒョン、こっち向いてください」

「俺は多分つけてないよ」

「知ってます」

ちゅ

「え」

「キスしたかっただけです。」

イチゴ並みに赤くなってしまったヒョンを見てにやけてしまう。

たまにはストレートな俺もいいでしょ?

『いちご』
(甘いですね、とっても)

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