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□癒着
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心臓が痛い。
ジクジクする、疼いてたまんない。
苦しい苦しい苦しい。

別に病気ってわけじゃなくてね、いつも痛いときは決まってる。
ジヨンを見てるときだって言うのは知っていた。
特にテソナと仲良くしてるときによく痛む。
何となくだけど、そういう関係なんだろうなっていう見当は付いていた。

引き裂くようなマネはきっと出来ない。
そのくらい、妬く気も失せるくらいに二人の仲が深いことは知っていた。

それなのに、どうしてお前はいつでもそんな俺を魅了するんだろう。

こんなんじゃ、悲恋どころかただの横槍にしかならないだろうに。


モノクロな世界の中、何故か俺と同じような顔をしたヤツを見つけた。


「スンリヤ、」
「はい」
「恋患いでもしてるのか」
「ええ重傷ですとも」

重すぎて死んじゃいそうです。

なんだ、あっさり認めたな。
呆れ果てたような顔をしているマンネは、わざとらしいため息をついて続ける。

「ヒョンも気付いてるんでしょ、アレ」

「まあな」

何、お前もそうだったの。

「嫌になりますよね、こっちの気も知らないで。知られないようにしてるから、当たり前ですけど。」

はは、と自嘲気味に笑うスンリにはいつもの面影は無い。

何と返したものか、と思考を巡らせながらタバコをふかす。

「ね、ヒョン。タバコ、1本下さいよ」

「お前普段吸わないだろう。」

「口寂しくって。愚痴ばっかり出てくるし辛いんです。」

スンリが困ったように眉を下げて、呟く。傷を抉ってしまったようで心が痛んだ。

「吸いさしでもいいですから」

ほら、とねだるこの末っ子をどうすればいいかなんて、考える間もなく、煙草を灰皿に捨て、スンリを抱きしめていた。

「っ・・・ヒョン?」

「ごめんな、」

「何に謝ってるんです」

「辛いこと聞いてごめん」

「何言ってるんですか、ヒョンだってすごく辛そうですよ」

俺の胸に顔をうずめて震えるスンリはまるで泣いているみたいだった。

「ヒョン」

「ん?」

「もうちょっとこのままでいさせてください」

いいよ、という返答の代わりにスンリの背中にそっと手をまわしてやる。
スンリの俺の服をつかむ手にぎゅっと力がこもる。

「・・・タプヒョンも、ヒョンのことすごく好きだったんですね」

「うん」

好きだった

「俺達、報われないですね」

「それでも、いい」

「そうですね」

スンリヤの最後の言葉に少し明るさが戻っていて少し救われた気持ちになった。

『癒着』

(間違った傷の治し方)

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