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□溺愛
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「てそんあー」

「なんですか、ヒョン」

「ハグ!」

両手を広げたタプヒョンは完全には
ハグの万全体勢だ。

そんなニコニコしちゃってー、もう。可愛いじゃないですか。

「ほら、いいですよ」

ぎゅーという擬態語が聞こえてきそうなほどしっかり抱き締める。

「ね、てそな」

そんな期待した声で呼ばないで下さい!恥ずかしいです!

「なんですか?ヒョン」

「ほら、早く早く」

「言わなきゃ分かりませんよー」

わざと顔を背けると、少し拗ねた声でタプヒョンは俺を呼ぶ。

「てーそーなー」

「ここにいますよ・・・っ」

顔に手を伸ばされ、唇を塞がれる。
キスして欲しそうだったから、焦らしてみたのに・・・。
あっさり自分からキスしてしまう。この人は自分の欲望に素直だから困る。

「ん・・・」

「満足しました?」

「・・・まだ」

まだ足りない足りないと騒ぐ欲望を隠さないその目。
その目とっても好きです。

「てそな、好き」

「俺も好きです」

どちからともなくもう一度キスをする。口内に侵入してきた舌に自由自在に翻弄されてしまうあたり、タプヒョンから主導権を奪うにはまだ早いと痛感する。

唇が離れ、少し息があがったヒョンの色気にクラクラしながら抱き締める。

ヒョンは俺の肩口におでこをグリグリ押し付けてくる。

「ヒョン、子供みたいですね」

可愛いです。

そう告げると、悪かったなと膨れられてしまった。

おでこのグリグリ攻撃が止む。

「ヒョン?」

Tシャツの襟を引っ張られ、
何だろうと思うまもなく、
ーーー噛まれた。

「え、ちょっと、ひょん」

「うるはい」

あむあむと甘噛みされる。
痛くはないけど変な感じ。

「ヒョン、もういいですか?」

「・・・」

カブッ

「痛い痛い痛いです」

犬歯が刺さってる!
血管食い破る気ですか!

ぎゃあぎゃあ喚くと本当にうるさかったのか手で口を塞がれる。

「んんーんーんーー」

しばらく唸ってみたけど、しょうがないとタプヒョンが飽きるまで放っておく。


「よし」

何が良いんですか、あーあ、歯形くっきり付けちゃって。

そんな満足気な顔されるとこまるじゃないですか。

「何でこんな目立つところに跡付けるんですかー」

「俺の前以外で脱がなきゃ問題ないでしょ?」

「そりゃそうですけど・・・」

「俺の愛情表現」

だって幸せで大好きで愛しくてどうしていいか分からなくなるから。

「・・・おかえしです。」

同じようにタプヒョンの肩に噛みつく。甘噛み、だけじゃなく、もちろん歯も立てる。

「てそなっ・・・痛いっ」

「我慢してください」

「ほんと・・・痛・・・てば」

やっぱりヒョンは肌が綺麗だからよく映えますね。

「俺からも愛情表現です」



きっとね、俺も同じ気持ちなんです。



『溺愛』

(まさに読んで字の如く)

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