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□人魚
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Side GD

彼のために敷かれた幸福への道を塞ぐ障害物になりたくないのだと貴方は言う。
"じゃあ、その関係は止めにするの"と問うと、”前提が違うんだよ”とタッピョンは笑う。

「いいか、ジヨン。彼にとっては俺との関係なんてちょっとした刺激的な火遊び、いわば若気の至り。あの人は俺がそんな風に想ってるなんてこれっぽっちも知らないから。だから、上手にタイミングを探さないと逆に怪しまれる。」

自嘲の笑みを浮かべるヒョンに俺は気のきいた言葉なんてかけられない。そんなセリフはあいにく習ってないんだよ。

「・・・悲劇のヒロインの気取ってるの?」

「いいや、別に」

諦めきったようなぼんやりした目で笑うアナタは一瞬気狂いに見えた。
他人の傷口にナイフを突き立てて、こんなに虚しくなったのは初めてだ。

「してあげようか?」

ごめんね、そこに漬け込んで蹂躙する方法ならよく知ってるの、俺。

Side Top

「貴方が愛したのは何?」

あの日お前の綺麗な唇が俺に紡いだ一つの言葉。
"何で分かり切ったことを聞くんだよ"と笑ってやろうと思ったのに、顔をあげたらあまりに綺麗な笑みが浮かんでいたから何も言えなかった。
俺が答えないことを察したジヨンは俺に一度キスしてゆっくり抱きしめ囁いた。

「いつまでそうしてるつもり?」

自然とつりあがる口角に任せて、俺はジヨンの肩越しに虚空を見つめる。
俺はいつだって同じ言葉を繰り返し、お前の背に腕をまわすんだ。

「いつまでも」

ありふれた表現を使うなら、この身が朽ち果てるまで、かな。
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