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□トライアングル
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スンリとテソンは先に寝ちゃって残りの俺と、ジヨンとタッピョンで飲んでるんだけど…。

「ジヨーン」

「…」

応答が無い。最近疲れてたししょうがないな。

「あれージヨン寝ちゃった?」

あまり飲まない俺と対照的に次々とワインの瓶を空にしていたタッピョンは少し酔いも回って上機嫌。
あれだけ飲んで少し酔うくらいで済むんだから、個人差ってずるいと思う。

「ほんとだ、寝てますね」

「ジヨナー、風邪引いちゃうよ?」

机に突っ伏したジヨンの頭を軽く叩いてヒョンが声をかけても身動き一つしない。

「ん・・・」

こうなってはもう、

「多分朝まで起きませんね」

「やっぱり?」

ふふふー

と上機嫌でタッピョンはジヨンの頬をつつく。

「睫毛長い」

「女の子みたいですね」

俺が放った言葉に一瞬ヒョンの顔が固まる。

「・・・なんで女の子じゃないんだろ」

ぽつり、とヒョンがこぼした一言。
なんてことない一言。

「え?」

「ん、冗談冗談」

思わず聞き返すと、ヒョンは目をそらして笑った。

冗談なんかじゃないくせに。
思わず沸き上がった苛立ちに我に返る。

「可愛いですもんね」

激情の余韻をかき消すように笑う。
違う、これは俺のじゃない。

「ほんと、もったいないな」

そう言いながら愛おしそうな顔してタッピョンはジヨンの頭を撫でている。

はっきり言ってかなり居心地が悪い。
眠くなったって嘘ついて寝てしまおうか。

そんなことを考えていると、うつらうつらしながらジヨンがつっぷしていた顔を上げる。

「ん…」

「起きた?」

「ヨンベ…運んで…」

眠そうな目で俺の姿を確認して俺の首に腕を回すジヨン。
お姫様だっこで自分のベッドまで運んでほしいんだろうな。

「ジヨンはしょうがないなぁ」

「ありがと…」

「タッピョン、ジヨン運んできますね」

「あぁ、うん」

タッピョン、さっきまでの俺とおんなじ目してますね。
羨ましがってる、嫉妬してる目。

ヒョンに背を向けてもなお視線が俺の背を貫く。

こんな形でもヒョンの意識に鮮烈に存在を残せるならそれでいいか。
最近そう思うようになった。

『トライアングル』

(実るわけない、誰一人)

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