ペルソナ零 The・Spirits
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春の風がまだ温かいこの季節。
桜の花びらは絶えず散っている。
「んじゃぁ、次、自己紹介しまぁーす。窓側から順に立ってー・・・名前と一言お願いしまぁす。はいはい、眠いからさっさとして」
窓側の一列目から順に自己紹介を始めた。
自分は三番目に立たなくてはならない。
「――・・・というわけで一年間よろしくお願いします!!」
自分の前に座っていた男子は自己紹介を終えて何だかほっとしている様子だ。
自分の番が否応なしに回ってくる。
「この春、この神条学園に転入して来ました、綾崎凛です。宜しくお願いします」
恥ずかしくてすぐに椅子に座ると教卓にいる担任の下野裕也が話しを始めた。
「綾崎?・・・読み方合ってるかな・・・まぁそれはどうせ後で名簿見て間違ってたら謝るからどうでもいいや。この春からここにお世話になる事になったそうだ。みんなも仲良くしてやれなぁ。」
下野の態度に思わず苦笑いを浮かべる生徒達。
その後も続々と自己紹介を終え、ホームルーム終了の鐘がなる。
「今日はここまで。新学期だから靴とかちゃんと名前書いとけよー。授業はないのでそれぞれ部活行くなりして下さいな。じゃ、解散!!」
下野が名簿をバンバン机の上で叩いて教室を出て行った瞬間に生徒達はため息をつく。
「結局下野だったし、担任。あぁーやだ!」
「私もぉ!!うるさいしいちいち眠いとかさ。
こっちのセリフだっつぅの!!」
(「・・・私もそう思った・・・」)
生徒達の声を聞いて自分も同感した。
うるさい。って。
初めての場所で初めてのクラス。
初めての担任があれでは楽しみも少ない。
(「帰るか・・・」)
真新しい鞄をもって席から立つと後ろから声をかけられた。
「あの。ちょっといい?」
そこにいたのはこのクラスの学級委員に推薦で選ばれた男子だった。
「・・・はい?」
「実は、綾崎さんにお願いがあるんだ」