ペルソナ零 The・Spirits

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「実は綾崎さんにお願いがあるんだ」

髪は耳のところまで伸びていて黒い透き通った瞳は人を魅了すほどに。顔立ちも良いからだったかも知れないが。


「・・・なにを・・?」


「明日の放課後、俺と一緒に学校の資料整理に付き合って欲しいんだ」



いきなり何を言うのかと思って少しばかり焦ってしまった。



「え?わ、私ですか?」


「他にもあてがなくて・・・部活とか委員会活動とかでみんな忙しそうなんだ。このクラスは予定が開いてる人が見当たらなくてさ」



大きくため息を吐きながらヨロヨロと机に寄りかかる。



「一応、君が最後の希望なんだけれども・・・」


机にへばりついて今にも泣きそうな表情であった。



「私なんかでよければいいですけど・・・」



実際、何も予定は入ってなかったし。


そんな軽い気持ちで誘いを承諾した。




すると先ほどまでへこたれていた学級委員は



「ありがとう!!恩にきるよ!!俺は神代樹。宜しく、綾崎さん!!」



彼は感情表現の能力が高いのか、
先ほどまでほんとに落ち込んでいたのに
急に、にこにこと私に笑顔を振舞う。



「はい!宜しくお願いします!!」









「んで?誘うことはできたのか樹」


凛が樹と約束してかれこれ三時間はかかっていた。


とある教室の隅。


「まぁな。普通にいいよって」


「そんなんでほんとにその人の"可能性"が見られるんですかね。また理事長のハズレくじじゃないんですか?」


そう言うと長い髪のストレートな少女は一枚の紙を折り始めて紙飛行機を作り始めた。


「そうだったらでまたいつもと同じだろ、どうせ」


渋栗色の髪を揺らしてもう1人の少年は呆れたように答える。




「どうせって言う言葉、余計ですね」


紙を折る作業を止め、渋栗色の少年をにらみつけた。



「そいつ次第だろ。ま、期待しちゃねぇど」



教室で凛に資料の整理を頼んだ本人はその時と口調はまるで違った。



「結果がどう左右するか・・・」

長髪の少女は折り終えた紙飛行機を教室の一番、端にあるゴミ箱に向かって飛ばした。




その紙には小さな字でに"綾崎凛"と書いてあった。



「日没前にここを出ておくぞ」



はーいと返事をする少年とその少年をにらみつける少女。




ここから事件は始まった。
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