ペルソナ零 The・Spirits

□5.
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重たい瞼をゆっくり開けた。
目の前に広がるのは真っ白な世界。
何もない。感じるものがない。果てしなく広がる空間とでも言うべきなのか。


「ここは、一体どこだと思う?」




後ろから急に声が聞こえた。





「…誰!?」




後ろを振りかえると男の子がいた。
しかし…



「…血…!?」


これもまた服も真っ白なはずなのに
そこには返り血を浴びたかのような真っ赤な模様があった。
私はさっき大量の血を見てしまったから
血に過剰反応してしまう。





「これは…気にしなくていいよ。ちょっと色々あってさ」




にっこりと微笑む男の子…と言っても12歳くらいの背丈で短い髪に不思議な瞳。

不思議な瞳というのはキレイでつい、
じぃーっと見てしまうぐらい魅力的なのに光を失ったように輝いていなかった。




「ここ…」




「…ここは死人の世界さ」




…え?




「わ、私ッ!!死んだのッッッ!??」



にっこりと微笑む男の子は

「ううん。死んでないよ」




「じゃ、じゃあ何でここにいるのッッッ!!」

死人の世界さと言われ、血を浴びた男の子に微笑まれたらそれはそれでホラーだし、
自分がどうしてこんな世界にいるのかも気になるところで…



「お姉さんは呼ばれたんだよ…"王さまに」




「王さま…?」




「お姉さんが心に宿している力。それはペルソナって言うんだ」




「それは…」

彼も出していたものだし、私の時は意識が途絶えていたのか途中途中の記憶が曖昧だし…




「愚者のカードは始まりのカード…」

そう言って男の子の周りに赤い光…




見たことがある…あの光…





「それは…運命が廻り始めた瞬間に生まれるとされる…」



男の子の後ろに黒い影が現れる。
そいつは…血塗られたマントが特徴の…




「申し遅れました…僕の名前はアオイ。お姉さんが驚いているのは僕のペルソナだね」





「でも…それはシャドウだって…」

彼が言っていたのだから…




「シャドウは僕にとって"本当の自分"なのさ…こいつ、死神シャドウって類いの要注意のシャドウでね…醜い悪魔なんだって」





「ペルソナ…本当の自分…」

シャドウは本当の自分なのか…?

アオイ後ろにいた死神シャドウが消えると
こっちに向かって歩いてきた。





「お姉さんはこれから先、普通じゃないことばかり起きると思うけど…」


私の真横に近づいて足を止める。




「それでも信じることを忘れなければ道はきっと開けるよ」


そのままアオイはすたすたと前に歩いていった。



「…待ってッ!!」

私が後ろを向いた時にはアオイの姿はなくまた途端に力が抜けて、




「アオ…イ……くん…」


意識が無くなってしまった。






「さぁ、運命に抗ってみて…お姉さん…」
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