novel

□恋道
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ペインによる被害から
ものすごい早さで復興して
もうほとんど元どおりになってきた。


今日は久しぶりに
砂から使者が来るんだとか。

もちろん案内はシカマルが…
受けるつもりだった。


しかし、IQ200とも言われる
シカマルは今日
暗号班から協力の要請がでたため
案内役はイズモとコテツへと
変わってしまったのだ。


きっと使者は自分の恋い焦がれている
あの深い緑の目をもつテマリだろう。
久しぶりに会えると
わくわくしていたのに
なんでこんな日に限って…

「めんどくせー」

と一言嘆いて暗号部のところへ
向かう。





すると、ドアから
厚底のメガネをかけた
シホがでてきた。


シホはシカマルをみた刹那
頬を赤らめて

「お久しぶりです。
お忙しい中ありがとうございます。
私たちじゃ力不足で
少々シカマルさんの知恵をお借りしたいのです。
ぶっちゃけすぐ終わると思いますが、
よろしくお願いします。」

と、ずれたメガネをなおしながら言った。


シカマルは「おぅ。」と一言言って、
すぐ終わるならテマリに会えるだろうか。
そんなことを考えながら
こんなめんどくせー任務
さっさと終わらそうと思うのだった。






シホの言う通り
1時間ほどで任務はおわった。
あの人はまだ木の葉へいるだろうか。
そんな淡い期待を持ちながら
暗号部を立ち去ろうとすると。



「シカマルさん、ぶっちゃけ
このあと急ぎの用とかあるんですか?」



シホはシカマルに恋心を抱いている。
最初に会ったときに
ビビっときたのだ。
それに、気軽にシホと名前で呼んでくれて
シホは正直舞い上がっていた。

今日も久しぶりに
シカマルさんに会えるので
いつもはしないリップをつけている。

久しぶりに会えたのだから
もう少し一緒にいたい。
そんな気持ちからでた言葉だった。


「もし、用がないのでしたら
よかったら一緒に甘栗甘にでも行きませんか?」



甘いものが好きなテマリのことだ、
きっとそこにいるだろうとシカマルは思っていた。

でも、シホと2人でいるところを見たら
彼女はどう思うだろうか。
妬いてくれるだろうか、
はたまた何とも思わないだろうか。

でも、せっかくの誘いを
断るのもめんどくせーから



「じゃあ、シホ。行くか。」

とシホと一緒に甘栗甘にむかった。









案の定テマリは甘栗甘にいた。


そして、
シカマルがテマリの横に座り
シホに注文するよう促した。



「ふっ、久しぶりだな、泣き虫くん。
あたしの任務をサボってデートだとは
ずいぶんといいご身分だな。」

「別に、そんなんじゃねーよ。
暗号班から協力の要請がきて
行けなかったんだ。すまねぇ。」



このやり取りを見たシホはなんだか
どうすることもできないような気持になり。
口を開いた。


「シカマルさん?この人は?」




「あぁ、シホはテマリと会うのは初めてだったな。
砂隠れの上忍、風影の姉のテマリだ。」

「よろしく。」


そういって手を差し伸べた
テマリをシホはすごききれいな人だと思った。


男らしい口調と低めの声とは対照的に
白い肌に豊かな胸、するりと伸びた細い手足。
それはまるで女であるシホからしても
艶やかで魅力的だった。


この美しさで上忍なのだから
すごい。
でも、同時にこの人は危険だ。
シカマルさんがとられてしまう。
そんな錯覚も覚えた。




「…よろしくお願いします。」



「どうせ今日もいつもの宿なんだろ?
食べ終わったら送るぜ。」


「ふん。あたしは
1人でいいといっているだろう?
それにその子はどうするんだ?」


「ここに来たいっていうから
来ただけだ。食べ終わったら
別にもういいだろ?
それに、俺があんたのこと送りたいだけだ。」


そういって
ばつ悪そうに顔を赤く染めた
シカマルをみてシホは
居ても立ってもいられなくなり



「そういえば、
上司に頼まれてたものがあったんでした。
ぶっちゃけ、もう食べ終わったんで、行きますね。」


「そうか、金は俺が払うから。
またな、気ぃつけてかえれよ。」



「失礼します」


そう一礼してシホは帰った。
ほんとは上司に頼まれてたものなんてない。

ただシカマルさんの心の中には
私なんて最初っから存在しなかったんだ。


あの砂色の髪をもった女性に
勝てるはずもなく…。


失恋決定ですね…。
さようなら私の初恋…。


そんなことを思いながら
泣き泣き帰った。







「よかったのか?
彼女今ごろきっと泣いてるぞ?」
「はぁ?なんで泣くんだよ。」


テマリは最初にシホをみたときから
シカマルに恋心を抱いているのを見切っていた。


しかし、どうやら
このアホ面は気づいてないようだ。
そう呆れながら言った。



「お前、IQ200のくせに。
鈍感なんだな。」



「そういうあんたもだろ。
俺、あんたのことが好きなんだ。
今日だって、あんたに会えること
すごく楽しみにしてた。
あんたはどうなんだ?」





テマリは一瞬驚いた顔をして



「ふっ、
泣き虫くんが色気づきやがって。
だが…、私もお前が好きだ。付き合ってやる。」



そう言って笑ったテマリを見て、
一生この人にはかなわないな。
と思ったシカマルであった。





END

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