novel

□瞳
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この人は人と話すとき、
あの深い緑色をした瞳で
まっすぐ、全てを貫くように目を見て話す。

だから俺は毎回
まるで何もかも見透かされているような
感覚になってドッキっとするんだ。



でも目をそらしちまったら

あんたは俺があんたのこと好きだって
気づいちまうだろうから

俺はあんたと同じように
あんたをまっすぐ見つめるんだ。

そのたびに俺は
どんどんどんどんあんたにハマっちまって

めんどくせーことに
いまじゃ俺の好きなその緑色のあんたの瞳を
独占しちまいたいなんて考えちまってる。







「おい、奈良!聞いているのか?」



「ヤベッ、ボーっとしちまってた。」


「はー、しっかりしろ。
明日からお前とツーマンセルなんだから、
くれぐれも足を引っ張るなよ。」



「わかってるって。
男が女に守られるわけにはいかねぇし。
もうあんたには助けられねぇよ。」



「だといいんだけどな。
じゃあ、明日の作戦をもう一度確認するぞ。」



「残党を見つけ次第
俺の影まねで相手の動きを封じ
そのあと、あんたのカマイタチで倒すんだろ?わかってるって。めんどくせー。」


「ふん、わかってればいい。
残党の中には元忍もいるとの情報だ。
くれぐれも気を抜くなよ。」


「おう。」



明日の任務の確認が終わったあとは
テマリを宿に送り別れた。




あぁ、テマリと合同任務とか
俺は集中できるのだろうか。

でも、惚れた女の前で
失態をさらすわけにもいかねぇし。
まぁ、いっちょやるか。








***次の日***


「これはとんだ情報ミスだな。」





俺たちは正直きつい状況の中にいた。
情報には残党は5、6人と聞いていたが
現場についてみると15人近くいたのだ。

テマリの斬りきり舞いで
やっと3人に減らすことはできたが
2人ともうチャクラ切れに近い。
しかも残りの3人はおそらく元忍だろう。



「おい、シカマル!この後の作戦はどうする?
あたしもお前ももうチャクラ切れに近い。
そろそろ終わらせなければまずい。」



「そうだな。相手もなかなかの手練れだ。
ここは俺の影寄せで一か所に集めるから、
そしたらあんたがカマイタチでやって…

その時、
テマリの瞳に一瞬焦りの色がみえたと同時に
テマリが叫んだ「シカマル!後ろっ!」


そして、テマリが俺にかぶさり
グサッっとクナイが刺さる音と
グッとテマリの苦しそうな声が聞こえた。

「おいっ、テマリ!大丈夫か!?」


「―っ、かなり深く刺さったうえに
どうやら毒が塗ってあるようだ。
もうたぶんもちそうにない。
意識が―。やるなら早くやれ!シカマル!」


「テマリ、すまねぇ。
またあんたに助けられた上に、ケガまで…。
くそっ。忍法影寄せの術!
テマリ、後は頼んだ。」



「―っ、忍法カマイタチ!」


テマリが術を発動させると
ビュウとすごい風があたりを覆い

「グゥッ。」だの「ギャアー。」だのの
悲鳴が聞こえた。

残党どもは
どうにか片づけることができたようだ。




一方テマリは、術を発動し終えた時点で
毒が体内に回ったようで倒れた。


「おい!テマリ!
くそっ。すぐ助けてやるからな。」



家が薬学関係だから
シカマルにも毒の解読の知識はある。


すぐに応急処置をし、木の葉病院へ運んだ。






医療忍者たちがすでに治療を終え、
あとはテマリが目覚めるのを待つだけだが、



いつもの力強い翡翠色の瞳は
瞼の奥へと隠れていて、

あの緑の瞳が見えないことに
シカマルは不安で、
どうしょうもない気持ちに駆られていた。



3年前にテマリに助けられ、
今回もテマリに助けられ、ケガも負わせ。
これじゃあ、合わせる顔がねぇな。


3年前と何もかわってないじゃねぇか。
くそっ、涙が…








すると瞼が上がって
翡翠色の瞳がみえた。



「また泣いているのか?泣き虫くん。」



「テマリ!!!目ぇ覚めたのか。大丈夫か?」


「なぁに、どってことないさ。」


そう言ってニシシと笑うテマリ。


深い緑色の瞳が俺をとらえ、
力強く俺を見据えている。
あぁ、テマリは生きている。

そう実感したら、
涙が止まらなくなってしまった。



「ほんとによかった。
俺のせいであんた
死んじゃうんじゃないいかって…。」



「ばぁか。
あたしがそう簡単に死ぬわけないだろ。
まったく、泣き虫は
3年たっても変わらないな。」


「俺、あんたを失うのがすげぇ怖いんだ。
俺ぜってぇ強くなって
あんたを守れるくらいになるから。
それまで待っててくれ。」



「それは宣戦布告のつもりか?
まぁいい。早くお前も上忍になれよ。
あまりにも遅いと置いていくからな。」



「え、それって…」



「うるさい/// 
そんなこと言ってる暇があるなら
早く上忍になれるよう、
修行でもするんだな。」



「いてっ。」




そういってデコピンするテマリに
早く追いつこう。

翡翠色の瞳を
早く俺だけのものに―。



END

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