novel

□星のない世界
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私は砂の忍びで
あいつは木の葉の忍び

片道3日もかかる遠距離。

会いたいと思っても
そう簡単に会えるはずもなく、
中忍試験などがあるときは1ヶ月に1回。
それ以外は半年に1回会えればいいほうだ。




この遠すぎる距離に
毎度のことうんざりする。


同じ里の者同士なら
どんなに楽なものか…


あいつは元気だろうか。


そんな事を
考えて空を見上げる。


今日は雲が
ゆっくりと進んでいて
いい天気だ。


こうやって空を見上げる癖は
いつからついたのだろうか。


知らない間に
あいつからもらった癖に
おかしくなって
ふっ。と軽く笑う。

私も随分甘くなったものだ。




最後に木の葉に行ったのは
もう半月も前か。



会いたい、な。


あのアホ面を思い出して
少し、ほんの少しだけ、
寂しくなった。



あいつもこうやって
私のことを思い出してくれて
いるのだろうか。



次に会ったとき

私の髪が伸びて
驚くほど久しぶりに
なってしまないように…


今日は、昨日より、いつもより
少しだけ多めに
私のことを考えてほしい。

なんて柄にもないことを
思ってしまうのは

今日が天気が良すぎるせいだな。


あいつはいま頃
きっと昼寝でもしているのだろう。



あまちゃんだからな。





目を閉じると
あいつが特等席で居眠りを
している姿が想像できる。



当たり前の日常に
自分がいないことに
寂しさを感じ
一筋の涙がこぼれ落ちる。



ふっ、これじゃあ
本気であいつに惚れてるみたいだな。


いや、もちろん
最初から本気なのだけど。



シカマル、
お前も本気で私のことを
想ってくれているのか?





会いたい









会いたいんだ。







溢れ出る涙をこらえるように
もう一度
上を向いて空を見上げる。


さっきまでゆっくりと
流れていた雲はどこかへ流れ。

いまは雲ひとつ見当たらない
快晴だ。




今日は星がよく見えるな。





今夜は星に願いでもしてみようか。




やっと手に入れた
大事な宝物をなくしてしまわないように。と、






END



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