TOW3

□第四章(侵食される世界)
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「空色の石」


時は少々進みブラウニー坑道
セレス達はバルバトスと対峙していた


カイル
「お前をここで倒すんだバルバトス


しいな
「待ちな全く」


バルバトス
「こい。捻り潰してくれる」

セレス
「…」


時は戻り
バンエルティア号


ホール


アンジュ
「うーん…一個は分かるけど…後の2つは何?」


ジュディス
「飛び回る実と、汗を流すパン?それしか分からないわ。でも空色の石ってきっと塩水晶の事よね?」


アンジュ
「うん。塩水晶の採集は依頼として出しておくね。ジュディス、引き続き解読作業頼める?」


ジュディス
「えぇ。任せて」


アンジュ
「同行者は誰が良いかな?…ブラウニー坑道に詳しいって言ったらしいなと彼女しか頭に思い浮かばないわ


しいな
「ん?あたしになんか用かい?」


アンジュ
「あ、ねぇしいな?」


しいな
「ん?」


アンジュ
「今暇?」


しいな
「うん。暇だよ、なにか依頼?」


アンジュ
「うん。塩水晶の採集の依頼」


しいな
「塩水晶?…あぁ。ジュディスの言ってたニアタから託されたプレートの事だね、良いよ。」


アンジュ
「本当?良かったぁ…あとは…うーん」


しいな
「セレスは居ないのかい?」


アンジュ
「それは思ったんだけどね…なんだか疲れてるみたいで」


しいな
「疲れてる?最近は依頼受けてないじゃないか。……そうか」


アンジュ
「うん。あのキバの影響かも」


しいな
「そうか…あの子と世界樹は一心同体だから、キバの侵食があの子の体にも変化があるんだね…」


カイル
「ん?どうしたの?2人とも」


アンジュ
「あ、そうだねぇ。カイル君。しいなと一緒に塩水晶の採集の依頼行ってくれない?」


カイル
「うん。依頼なら大丈夫だよ」


アンジュ
「これで2人…後は誰か」


セレス
「……アンジュ。私も行く」

アンジュ
「えでも…」


セレス
「行きたい。大丈夫、ミントの協力を得たから」


ミント
「はい。セレスさんの事は大丈夫です。アンジュさん?彼女は止めてもいきますよ?」


アンジュ
「そうだね…じゃあ、しいなとカイル君、ミントとセレスに決まりね。…くれぐれも無茶はしないようにね?」


セレス
「うん。採集だから大丈夫だよ」


そう思っていたセレスだったがとんだ誤算だった事はまだこの時思っていなかった


ブラウニー坑道


しばらく奥に進んでいると…ただならぬ殺気を感じとっていたセレス


セレス
「……」


しいな
「ん?具合でも悪いの?」


セレス
「違う…この先になにか居る…ただならぬ殺気を感じるの。…ただの採集じゃなさそう」


しいな
「えぇ


ミント
「はい。私もなにかが肌に突き刺さる殺気を感じます」


しいな
「そういえばそうだね…あたしも感じるよ」


カイル
「この先になにが…まさか


しいな
「あカイル?ちょっと待ちな


ブラウニー坑道
8層連絡坑道(塩水晶採集地)


カイル
「Σあいつは


バルバトス
「ぬう…ん?貴様は…そうか、やはり貴様も居たか」

カイル
「バルバトス


しいな
「ちょっと待ち…ってあんた今なんて?」


カイル
「俺達が戦っていた相手だ。」


しいな
「とりあえず待ちな


バルバトス
「はっはっは良いぞ。その殺気を待っていた。来い。捻り潰してくれるわ

カイル
「バルバトス


セレス
「……


ドゴォン


カイル
「ぐぁなにするんだよ離せ


セレス
「頭を冷やせ」


カイル



しいな
「…?」


バルバトス
「ふ、ふはははははそうだ…貴様だ、さぁ来い


セレス
「……」


カイル
(なに?彼女から感じる殺気がバルバトスに似てる…)


一合目を打ち合った瞬間、地面が小刻みに震えていた


しいな
「な


ミント
「セレスさんの本気…」

凄まじい威力のぶつかりあいで塩水晶がパラパラと砕けていた


カイル
「な…なんて力なんだ」


しいな
「う耳が痛いよ」


ミント
「火花が飛び散るくらいです…いつもの戦い方じゃない」


しいな
「えぇ


ミント
「皆さん。彼女に加担しましょう。」


ギィン


カイル
「…いや…必要ないよ」


ミント
「え?」


バルバトス
「…ふははははは。良いぞ…良いぞ俺の渇きを満たすものだ。」


セレス
「はぁ……はぁ……」


バルバトス
「覚えたぞ。貴様の顔。次会う時は覚悟するんだな」

バルバトスの斧を弾いたセレス。
そして、バルバトスに目をつけられてしまう始末となってしまった


しいな
「や…やったの…かい?」


カイル
「ううん。結果的には逃がしてしまったけど…多分バルバトスの斧にヒビが入った筈だよ」


セレス
「…剣が折れた。腕もピリピリしてて痛い…」


以前サレと激突した際についた古傷が開いてしまっていた。


ミント
セレスさん血が…血が垂れてます」


カイル
「え


しいな
「…あんた…これで仲間を失わずに良かったよ」


カイル
ごめん…俺…ちゃんと前が見えていなかった…セレスを怪我させて…」


ミント
「カイルさん?」


カイル
「?」


セレス
「バルバトスに付けられた傷じゃないよ。…あれの力は異常過ぎる…カイル一人が突っ込んで行ってたらどうなってた?想像してみなさい」


カイル
…そうだ…あの時はロニ達が居たから……でもさっきの俺は…完全に見えてなかった…俺は…死んでた」


セレス
「死なせない。…一人で突っ込んで行っても…私達が居る。今度はちゃんと周りを見て………はぁ…カノンノの涙見たくないのに…なんとか誤魔化せないかな…多分無理だろうな…剣が使い物にならなくなったから」


その後塩水晶を採集してバンエルティア号へと帰って行った


ホール


アンジュ
「…Σ血が…あなたの服に血が…どうしたの

セレス
「え…?な…なんのことかな?」


カイル
「ごめん…アンジュ。俺のせいなんだ、あの地に…俺達が戦ってたバルバトスって男と一人で戦って…」


セレス
「古傷が開いたの。カノンノは居ないよね…バレたくないから早目に医務室に行くわ。…黙っててね」


アンジュ
…うん…じゃあ…目を付けられたの?」


カイル
「うん」


アンジュ
「怖い人に目を付けられちゃったのね


カノンノ
「…血…?…ねぇ…誰か」


アンジュ
「…Σカノンノ?大丈夫よ私さっきまで鼻血出てたの


カノンノ
「…嘘…だってさっきまでアンジュさん私と居たもん…ねぇ…誰の?」


アンジュ
「…」


カノンノ
「彼女…?」


アンジュ達は黙っててと言われていた為…黙秘を貫いていた。


ミント
「…」


カノンノ
「…ねぇ……」


医務室から叫び声が聞こえていた。


医務室


ナナリー
「無茶するんじゃないよ…全く」


セレス
「ひぃ…ご…ごめん


アニー
「強力な傷薬です。動かないで下さい!」


セレス
「きゃあちょっと痛いよ


ナナリー
「あんたが無茶するからだろ


セレス
「うぅ…」


ホール


カノンノ
「……そ…やっぱり彼女なのね……」


アンジュ
「……今の叫び声ってなに


カノンノ
「…とぼけないでよ


アンジュ



カイル
「カノンノ…ごめん…古傷が開いたみたいなんだ。心配する事ないよ…今の声で分かるよね。元気だから…セレスは」


カノンノ
「…」


カノンノは足早に医務室に駆け出していった


アンジュ
「……カノンノ…」


ミント
「…カノンノさんにとって彼女は誰よりも大切な存在なんでしょう…」


アンジュ
「そうね…」


医務室


カノンノ
「セレス


セレス
「…Σ痛い


カノンノ
「ごめん…じゃないよ…なんで無茶するのよ…」


ナナリー
「大丈夫だよ。きつーいお灸を据えたからね」


カノンノ
「ナナリー」


アニー
「…本当です…私も心配です」


セレス
「大丈夫だよ。…ほら


カノンノ



セレス
「いたぁ


ナナリー
「こら


アニー



セレスの元気な姿を見てほっとしたカノンノだったが…本当のところ傷付いた彼女を見て酷く心に傷を負ったカノンノだった


「不埒な悪漢を倒せ」
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