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□蒼の孤独 (上)
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「どうして・・・どうしていつもこうなってしまうんだっ!!」
ガンッ、ガンッ!!
暗い盛の中、ただひたすらに堅い岩を殴る音が響き渡る。
岩は彼のこぶしによってえぐられ、もろくなっていた。
「私は、私はっ・・・ヒーローとして、何をすればいいのだ・・・」
彼の表情はゆがみ、頬に涙が伝う。
今までヒーローとして泣かないと決めた彼が初めて流した涙だった。
血のにじむ拳を握りしめ、ヒーロー、スプレンディドはただただ、己のふがいなさに絶望しきっていた。
しかし、急に彼の動きが止まった。
「そうか・・・私は・・・世界に必要無かったのか・・・」
彼の顔がさらにゆがみ、笑顔を作りだす。
絶望的な笑み。
「あは、あははははははっ、はははははははははっ」
いつしか降り出した雨。
彼をあざ笑うかのように降り注ぐ。
体が冷えて行くのもかまわず、ただひたすらに彼は笑う。
乾いた笑い声がいつまでも、いつまでも辺りに響いていた。