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□喪失感【前】
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急に襲ってきた吐き気とめまい。これはもしかすると・・・!!
「へぇ、本当に効くんだな。ふん、あの双子が命乞いする際に言ってきたが・・・。たまには役立つじゃねぇか、なぁ?」
彼が手にしていたもの、それは“スプリクトナッツ”だった。
「いつもいつも俺の事を邪魔しやがって・・・いちいちうるせーんだよ」
そう言って彼は僕の腹部にナイフをさす。
スプリクトナッツで弱っているせいか、今度は簡単に肉を切り裂いた。
「ぐうっ・・・があああぁぁぁっ!!」
口から吐露物と血液が混ざりあったものがはきだされる。前回双子を倒した時よりもきつい。意識がもうろうとしてくる。
「お前にいつも殺されて不満がたまってたからな。簡単には殺さず遊んでやるよ」
吐き気、ナイフで刺した傷みが同時に襲ってきてどうしようもなく痛い。つらい。
傷みに耐えて涙をためてゆがんだ視界の先に真っ赤な髪が見えた気がした―――
TO BE CONTINUED―――