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□蒼の孤独 (上)
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あれからというもの、スプレンディドは皆の前に姿を現さなくなっていた―――
「ねぇ、最近スプレンディドを見かけた人、いる?」
ギグルスが紅茶を入れながら周りに聞く。
薄いピンクと白で統一された清楚なテーブルクロスのかかったテーブルの周りには、カドルス、トゥーシー、ペチュニアが座っていた。
「ん、そういえば見かけないね。いつもだったらちょっとした事件でもすぐに飛んできてひっ掻き回すんだけどね・・・?」
「あら、トゥーシーったら、その言い方は無いんじゃないかしら」
「僕は本当のことを言ったまでだけど・・・」
トゥーシーが不満そうに下を向いた。
「でも、なんだか気になるよね。この前もスニフと話してたんだ。スニフ、悲しそうだったよ」
クッキーを手に持ったまま、食べもせずにカドルスが言った。
自然と、彼の顔が悲しそうなのを見て皆も深く考える。
「・・・私、ドントさんに連絡を取ってみますわ」
最初に発言したのはペチュニアだった。
「もしかしたら、彼ならスプレンディドさんの行方を知っているかもしれませんもの」
「今はそれがいいかもしれないわね・・・ぺチュニア、お願いできる?」
「もちろんですわ」
ペチュニアは深くうなずき、軽く挨拶をしたのちにその場を後にした。
残りのメンバーの間に息苦しい沈黙が続く。
「・・・ね、きっと、大丈夫だよ。今までだってそうだったんだから・・・だから・・・」
カドルスがギグルスの顔を心配そうにのぞきこむ。
彼女の返答は、心の無い笑みだった。
「そう、ね。ありがとう」
彼女の心は一向に晴れなかった。