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□蒼の孤独(中)
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「お前、まさか生きて帰れると思ってねぇよなぁ?」

「ふりっ・・・ぴーっ・・・」

ぎりぎりと、私の首をロープが締め付ける。

声が、でない。


「馬鹿な奴。俺にお前ごときが相手になれるわけがねぇだろ?」

さぁ、どうやって殺してやろうか?


覚醒の嘲笑う顔が妙に腹立たしく見える。

こうなる事は分かっていた。けれど、死を覚悟して聞かないと、埒が明かない。

「あなたはっ・・・ディドと最後に会ったのでしょう・・・?」

「・・・はぁ?」

少し、ロープが緩み、多少楽になった。

これなら話せるかもしれない。

「フリッピー、あなたは彼に何を言ったの?」

「またあのくそヒーローの事かよ。チッ、なんだってお前らはそうあれの事を知りたがる」

覚醒が、興ざめだとでもいうかのように、ロープを手放した。

「げほっ、げほっ!!」

ロープが緩み、私はせきこんだ。

「つっ・・・フリッピーっ・・・!!」

「うるせぇっ!マジで殺すぞ!?」

殴られた。

鉄の味が口に広がる。
血が出たらしい。

でもそんなことどうでもいい。
彼を見つけられるなら、一度死のうが何年のうが、耐えられる。

私はフリッピーのズボンの裾をつかんだ。

「チッ、さわんじゃねぇっ!」

何度も何度もけられ、踏みつけられる。

けど私は手を離さなかった。

しばらくすると、衝撃が無くなった。

「・・・そんなに知りたいのかよ」

私は弱弱しくうなずく。

彼はため息をついて、話し始めた。
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