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□蒼の孤独(中)
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「あの日も俺はそこらへんの屑をぶっ殺して楽しんでた。だけどあのくそヒーローが来たのさ・・・

………

……





『フリッピー君!やめたまえ!!』

チッ、きやがったか。

俺はさっきまでギャーギャーわめいていた肉塊にナイフを突き刺して、声の方へ向いた。

『うっせぇんだよクソヒーロー、いっつもじゃますんじゃねぇ!』

イライラする。

どうせ明日には生き返るってのに、なんで止める?

いや、しかし・・・

『クククッ…』

『フリッピー君…?』

なぜ笑うのだ、と不審そうに奴は聞く。

俺は腹を抱えてひとしきり笑い、笑いをかみ殺して言った。

『お前はさ、なんであんなのを助けようとする?』

『何を言っているのだい?世界を平和にするためだろう?』


はっ、そんな事だろうと思ったぜ。
だからお前はだめなんだ。

『お前は平和にしたいという願望だけで動いてるんだろ?つまりは自己満足ってわけだ』

『そんなことあるわけがないだ…』

『ならなぜ救えない?』

その一言で奴は押し黙った。

『ほんとは自己満足でしかない。だから救えない。お前の助けなんて誰も必要としてない…一人ぼっちってわけだ』

笑えるな。

そんなのにも気づかないってのはただのバカだろ。

『わ、私はっ…そんなつもりでは…』

『お前はいらないんだよ、この町からも、この世界からも』

どっかとおくに行っちまえよ。

俺はそう言い捨てて行った。




……

………

「どうせ俺らは遠くに行けねぇ。町に束縛されてんだからな。いつか戻ってくる羽目になる。どうせそれを知って山奥にでも引きこもってんだろうよ」

かははっ、と、フリッピーが笑った。

あぁ、そうなんだ。
彼は傷ついているんだ。

「っと、クソヒーローの話ししてたら気分悪くなってきた」

“どうせ、死ぬこと覚悟だったんだろ?”

やっぱり殺されるのね。

しょうがないのかしらね。彼を探すのは、明日にしようかしら。

私は胸にナイフを刺され、激痛を感じながらそんなことを考えていた。

【TO BE COUNTINUED…】
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