HTF
□蒼の孤独(下)
2ページ/3ページ
「この町に正義のヒーロー気取りなんていらない。だから私が駆けつけても誰もが心の内で舌打ちをするんだ」
「そんなこと」
「あるよ」
私の言葉をさえぎるように言う。
そんなことないのに・・・私たちは、心から助けを待っているのに。
「子どもを助けようとして駆け付けるときの風圧で家が全壊。子どもを助けても周りは血の海。家に届けてあげようとして他のSOSが聞こえると子どもを放り出してそちらへ行く」
そんなヒーローはいらないだろう?
そう言った彼はむしろ笑ってさえいた。
嗤ってさえいたのだ。己を。
私はそれに怒りを覚えた。本当のことを言うとそうかもしれない。だけど私たちは単なる助けが欲しいだけではない。
救いがある、彼、ヒーローがいるという助けが欲しいのだ。
それを分かっていない。
「スプレンディド、あなたはなにも判ってないわ」
「どういうことだい?」
「貴方の人柄にも多くの人が助けられたのよ?それに、失敗はあれどあなたは頼られている。実際たくさんの人を助けたじゃない」
あなたは必要なの。
この町にも。
そして私にも。
いつしか私の眼には涙があふれていた。