囲碁部は只今活動中!
□すでに危機とか笑えない
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昼休み。
天気がいいのでサッカーをしにグラウンドへ出ようとしていた僕らは、
『緊急事態発生っ!囲碁部の諸君はただちに部室に集まってくれ!』
という部長のわけのわからない校内放送により急遽部活へ行くこととなった。
「一体何だって言うんですか?オレらだってやりたいことの一つや二つ、あるんですよ?」
僕と一緒にサッカーをするはずだった和人がいかにも不機嫌そうに言った。そう言えば、サッカーしようって言い出したのか和人だったような気がする。そんなにやりたかったのか、サッカー。
そんな和人・・・いや、僕らにむかって部長が真剣そうに話しだす。いつもは優しくてにこにこ笑っているものだから、よほど重要なことなのだろうと分かる。
「すまないな、昼休みに呼びだしたりなどして。実はな・・・もしかしたら、この部活、無くなるかもしれないんだ」
・・・はぁ!?
「ちょ、ちょっと待って部長っ、今何て言った!?」
驚きすぎて聞き返してしまった。しかもタメ口。
「だから、囲碁部が無くなるかもしれないんだ。ほら、この時期そろそろ新入部員が入って来てもいい頃だろ?それなのに我らが囲碁部はまだ誰も入っていない」
「このままだと今年俺らが卒部したら部を運営するための人数に到達しないらしい」
だからってすぐに廃部にしなくてもいいじゃないか。どうも納得がいかない。
「つまり、部を残したいなら新入生を集めろってことですね」
幸輝がそう言うと部長が深くうなずく。
「そういうことらしい。とにかく今日の部活から・・・」
「佐伯いいいぃぃぃっ!!」「い゛だあぁっ!?」
突然、部室じゅうに響き渡るほど(と、行っても部室はそんなに広くないけどね)大きな声に部長の声が遮られたかと思うとその瞬間に部長の顔面に筆箱がクリティカルヒットした。
・・・痛そうだ。プラスチック製の筆箱、しかも角がまるで野球部の投げる球のような速さであたってたし。
「あ・・・彩乃先輩」
投げたのは副部長、佐々木彩乃先輩だったようだ。
「なんであんたはそんな大切な琴を私に言わなかったの!!」
連絡されてなかったらしい。説教が始まってしまった。・・・あ、部長が正座してる。
「と、言うわけで今日の部活から勧誘始めるからな、がんばっていこう!!」
説教が終わり、予令が鳴った後に部長の言葉で解散となった。