囲碁部は只今活動中!
□不運は積み重なる
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ぱちんっ!っと碁石を打つ音が響く。
今は部活中だ。
「薫、一年に教えてあげてくれる?」
幸輝が僕に言ってきた。どうやらもめてるらしい。
「あ、えっとうん」
揉めているのは男女のペアで打っていた二人。
「いったいどうした?」
声をかけてみると、二人同時に、息ぴったりに、涙目というオプション付きで訴えてきた。
「「先輩っ!!由比(佳)がひどいんですよ!?」」
…頭が痛くなりそうなほどのシンクロ率。
双子だったはず。
さすがは双子。
「だから、なんでもめてるんだい?」
お願いだからちゃんと教えてくれ、というと、由比が状況を言ってくれた。
「私が打ったところを佳が『それじゃだめ、こっちのほうがいい』っていってくるんですよぅ」
「いや、だってそれはほんとうのことだし」
「別に私が考えて、考え抜いた結果なんだからいいじゃん!!」
また喧嘩を始めた。
あわてて二人を引き離す。
「確かに佳君のようにより良い手を考えるのもいい。だけど今は真剣勝負のはずだから、そう言うのは言わないほうがいいかもしれないね」
「ほら言った通りじゃないの―――」
「どっちがいい悪いって話じゃない、両方正しいんだよ」
さぁ、二人とも続きをしよう。
そういうと、僕の下手な言い分に納得してくれたように喧嘩を止めて打ち始めた。
あぁ、胃が痛い。