悪食少女の非日常

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何が起こってるのかさっぱり分かんない。
今日はドーナツを作っていた。キルちゃんやペチュニアにあげようかと思って。
私の住む地域は大量殺人事件があった西地区とは離れてるし、大丈夫だとは思っていたのだけれど…油断したかも。どこからか、発砲されたかと思いきや、その衝撃で上から梁が落ちてきた。
折角、一度スプレンディドに忠告貰ったのに…。
でも、家にいてこれだからしょうがないのかしら。

辺りはまたもや瓦礫の山。今日は運が良くて腕を骨折した程度で済んだけれど、下手には動けないわ。見つかって打たれても嫌だもの。
…やだ、折角髪の色に合わせて白に薄いピンクのエプロン買ったのに、まただめになっちゃった。って、そんなこと考えてる場合じゃないわよね。キルちゃんは大丈夫なのかしら。怖い思いしていないといいのだけれど…。

すこし体を起してみると、腕に激痛が走った。痛い。でも、今日は比較的ましな方ね。どうにか動けそう。下手には動けないとしても、さすがにここにずっといるのもきついところあるしね…。

がらがらと、音が鳴る。
足音。それも複数。

これはまずいかもしれない。誰か来た。救助ならいいとして、何か違う気がする。

「いいか、生存者が見つかり次第発砲してくれ。一人たりとも逃がしてはならん」

一度死んだ方がましだったのかもしれない。たしか、西地区で死んだ人は寿命でもないのに生き返らなかった。もしかしたら何か特別な方法で殺してるのかもしれない。そうだったとしたら今の状況はどうにかしなくちゃ…。

そう思って、瓦礫の隙間をどうにか移動しようとした時。

ぱきっ、と、木の破片が折れる音がした。

「ん、誰かそこにいるのか!?」

いやだ、見つかったっ!?
どうしよう、殺されてしまう…!

そう焦っていた時だった。

「な、なんだっ…、が、あ゛っ!?」

急に兵士らしき人の声が上がる。そののちに次々とうめき声と発砲する音が聞こえ、ぐしゃり、と、何かが潰れる音も聞こえた。

誰か、助けに来てくれたのかしら。スプレンディド?どちらにしても死んでしまうじゃない。まぁ、兵士に殺されるよりはいいのかしら。でも、いつもなら名前を先に名乗るはず。これはおかしいわ。

そんなことを考えていると、上に覆いかぶさっていた瓦礫が消え、急に光が差してきた。

そこにいたのは。
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