悪食少女の非日常

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キルちゃんを追いかけて走って行った先は研究室のような場所になっていた。

政治の中心となっている建物だと思っていたのだけれど、そうではないのだろうか。

“マッドサイエンティストでもいるのかもなぁ”

…どういうことなんだ。

“あの奥に餓鬼が三人いるな。しばられて動けないってとこか”

“どーせ、今追いかけてる餓鬼や、双子が言ってたやつらだろうなぁ”

実験材料…確かそう言っていた。
助けなければ。

「まちたまえ。そいつらに触れないでもらおうか?」

「っ、ふりっぴ、さんっ…気にせず助けてあげて…くださいっ…!」

薄暗い中声が聞こえたかと思うと、すぐそばに逃げだした男がキルちゃんを捕まえていた。
だから無茶だと…。

「一体、貴方の望みはなんだと言うのです」

「望み…か。なんだと思う?」

嫌に含みのある笑いが耳につく。
正直気分が悪い。

“ぶっつぶせばいーじゃねーかよ。お前がやんないならおれがやるぜ?”

確かに、戦闘能力なら僕たちの方が上だろう。
おそらくあの男と、"そばに控えている一人"くらいは余裕で倒せる。

しかし、そんなことをすれば三人とキルちゃんが無事で済む保証はない。

“あー、そうだったなぁ。ちっ、めんどくせーなぁ”

「私たちにとって、君たちは害悪そのものだ。私たちを危険に晒す上に殺しても生き返る。まるでゾンビのように」

「しかしながら、その再生能力と言うのだろうかね?それは我々にとっても有益なものであると判断したのだよ」

「それは、矛盾しているのではないでしょうか?」

散々ないい方をしつつ、有益だと判断すれば利用する…か。

「そんなことはないさ。我々にもその再生能力が備われば薬を買うことのできないような貧しい人をも助ける事が出来るじゃないか。素晴らしいと思わないかい」

“ばかなやつらだなぁ?そんなに巧くいくわけねーってのに”

「僕たちはこの能力に執着しているわけではないのですよ。そんなことしてもどうにもなりません」

「ふりっぴ、さんっ…いってもむだです…。はやく、3人をっ…」

どうすればいい?

一人で同時に二人はどうしても片方に好きが出来る。その間にきっと3人か、キルちゃんか、どちらかが危険な目に遭うだろう。

僕には選択肢さえもないのか…?
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