悪食少女の非日常
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いつもなら運良く助かって相手が自滅するところなんだが今回はそうもいかないだろう。
俺は相手に攻撃されながら思う。
「お前…いい加減にしたらどうだ?」
相手に問いかけてみたが・・・どうやら癪に障ったらしい。
いきなり手に噛みつかれ、肉をえぐられた。
「ぐっ、あ゛あ゛ぁっ!!」
痛いどころの話ではない。出血量なんか半端じゃない。
だが倒す事も出来ない。
なぜだろうか?こいつは本当は怖がっているんじゃないかと思う。
痛みに耐えつつもう一度少女に声をかけた。
「お前は本当に自分自身を助けたやつさえも殺そうとするのか?」
そう言うとぴたりと動きが止まった。
少女は手当てされている自分自身の腕を見てすこし考えて
「すっ、すみませんでしたっ!!」
急に謝りだしたのだった。
「えっと、気が付いたら知らない場所にいたので敵につかまったのかと思いまして攻撃してしまいましたほんとごめんなさいっ」
あせったように弁解をする。
やっぱり俺の感はあたっていたようだが・・・
敵かと思われて殺されてはこっちもたまらない。
「分かった、分かったから落ちつけ」
そう言って俺は水の入ったコップを差し出した。
「俺はランピーという。お前の名は?」
「わ、私はキルと言います」
水を飲みながら答えてきた。キル、か。
その時、部屋の外から物音がした。
その物音にキルは警戒したように殺気を放つ。
しかしドアを開けたのは―――
「やれやれ、とんだ目に遭いました。ランピーさん、大丈夫ですか?」
モールだった。
「窓から落ちて無傷とは、さすがだな」
俺はモールに言う。ここはモールの家の三階だ。
普通なら重傷を負っている。
「ちょうど窓の下に藁を積んでいまして、そこに落ちたのでけがをせずにすみました」
どんだけ運がいいんだ。
「あ、えっと、貴方は・・・?」
キルが質問した。そう言えば、まだ言ってない。
「キル、こいつはモール。俺の友人だ。モール、こいつの名はキル」
そう言うと、モールはにこりと笑ってキルに軽くお辞儀をした。
・・・三階から突き落とされたというのによくそんな対応が出来るよな。さすがは紳士ってか。