悪食少女の非日常

□18
2ページ/3ページ

「中枢都市、いったですか…?怪我、ないです?」

少し心配そうな顔。先ほどまでの凶器的な笑みは消えている。あれは見間違いだったのだろうか。

「おー、大丈夫だったぜキル」

「兄貴、思いっきり腕の骨折ってたくせに何言ってんだよ。かっこつけずはよ説明しろ」

「あぁ!?なんだよ。それいうなっての!!…ほら、これがそのファイルだから。読むのめんどくせ―から勝手に読めよ」

そう言って、何かのファイルを放り投げてきた。
読んでみると、内容は非人道的な政策について明記されていた。

「…これは」

「あまりにも酷いと思わないかい?スニフ君、君にこのウイルスについて調べてほしい。僕たちがここへ来たのはそれが理由だ」

スプレンディドさんが何時になく真剣な顔をしていた。
僕の考えは正しかった。キルちゃん…彼女はこの襲撃に関係があったのか。

「ウイルスについてはその存在は確認しています。ただ、これに聞く薬の開発はまだです。正直、薬が完成したとしても、それまでにさらに多くの住人が無くなってしまう。それよりは直接中枢都市に向かって交渉を持ちかけるべきだと思っています」

「…君は、それにキルちゃんが行くべきだと思っているんだろう?だが、キルちゃんはまだ子供だ。危険な目に合わせるわけにはいかないだろう。これは大人で、尚且つ運動能力にたけているものが行くべきじゃないか」

明らかに怒っている。確かにそうだ。それはわかっているが彼女なしなら向こうにも多くの被害をもたらしてしまう。僕たちはここを守りたいだけであって、町の外の、罪もない人々を虐殺したいわけじゃない。

「私、行きますよ。最初からそのつもりでしたから」

キルちゃんは先ほどと同じような返事を傍で淡々と述べる。
やっぱり見間違いじゃない。この子は何故だか楽しんでいる。

「お前、なんで行こうとするんだよ!さっきのこの似非ヒーローとスニフの話、聞いてなかったのかよ!!」

「兄貴の言う通りだ、危険だってわかってんだろ!?」

双子が言い返す。こういうところは双子の憎めないところだ。

だが、キルちゃんは首を振った。

「もともと、私が来なかったら幸せの町が攻撃されることなんてなかったです。それに、私は家族を殺した政府が許せないです。だから、私は行くんです。皆さんには迷惑をかけないように、一人で行くですから」

この子は家族を亡くしていたのか。
そうならば、政治家たちに合った時怒りで理性を失い暴挙にでる可能性があるじゃないか。それはまずい。

そう思っていた時、またもや扉がいきなり開かれた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ