悪食少女の非日常
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この町に引っ越してきた人がいるってことはすでにしっていた。
なんたってヒーローだからねっ!
しかし何故か町で一度も出会えない。・・・なにかあったのだろうか?
もしその新しい住人がらみの事件が起こっているとすれば私はすぐに解決しに行かないといけないだろうが・・・。
「あ、あの・・・スプレンディドさん、ですか・・・?」
ん、聞きなれない声。新しい住人かな。
・・・どうやって僕の居場所を探したんだか。
(今は森の木の上に座っている状態だ)
「そうだよ、私がスプレンディド。この町のヒーローさ」
「ひ、ひーろー、なんですか。はじめまして、この町に引っ越してきました。キルといいます。よ、よろしくおねがいします」
ぺこりと頭を下げてきた。
キル、か。まだ小さいな。
親も来ているのだろうか?
「よろしくね。君は親子でこの町に来たのかい?」
そう言うと、サッ、と表情が曇った。
目に涙をためて、「一人です」と、ぽつりといった。
・・・どうやら私は聞いてはいけない事を聞いてしまったらしい。
「―――キルちゃん」
「・・・はい?」
「町を案内してあげようか」
そして今は私が彼女を抱きあげて空の散歩をしている所だ。
「うわぁ〜っ!きれいー!!」
キルが嬉しそうに言う。
よかった、元気取り戻してくれて。
「気に言ってくれたかい?」
聞いてみるととてもうれしそうに「はいっ!」っと返事を返してきた。
「キルちゃん」
「はい?」
「―――この町の人たちはみんないい人だってことを忘れないでね」
キルちゃんは当たり前だとでも言うようにこくりとうなずいた。