悪食少女の非日常

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「兄ちゃん、今夜はこの家の者盗むのか?」

俺はまだ建てられてそう立っていないであろう赤い屋根の家を見て兄ちゃんに言った。

「あぁそうだ。ここには子ども一人、しかも女が入って来たらしい。そんなに高価な物は望めないが、盗むにはたやすいだろう」

兄貴はにやりと笑った。

きっとまた失敗するんだろうなぁ。
・・・兄貴には言えないけどな。

「今夜が楽しみだぜ。イーッヒッヒッヒッ」

兄貴の笑い声が静かな住宅街に小さく響いた。

  *  *

「ランピーさん、一口食べますかー?」

キラキラとした目で俺を見上げ、ショートケーキを刺したフォークを差し出すキル。

「ん、ありがと、もらうよ」

キルからフォークをもらい、ケーキを食べる。
生クリームとほのかな苺の香りが口の中に広がっていく。
うん、うまい。

今はキルに誘われて、近くのケーキ屋に来ている。

なんせ、一度来てみたかったそうだ。

「俺のも食うか?ブルーベリーのタルト」

「あ、くださいな」

そう言って口をあける。
食べさせて、ということか?

俺は一口分フォークにとって口の中に入れてやる。
多すぎたらしい。
むぅ〜、むぅ〜、としばらく悪戦苦闘してからやっと呑み込んで、「おおお、美味しいです!!」と目を輝かせて言った。

「なんだったら、全部食ってもいいぞ?」

「いえ、いいです。こういうのは、人から一口もらう、ってのがおいしいんですから」

キルはにこにこして言った。
俺にはよくわからんが、そう言うことらしい。

「ねぇ、ランピーさん、ランピーさん、もうお昼ですし、ハンバーガー食べたいです!!」

「まだ食べるのか!?」

小さい割に、胃袋は大きいらしい。
思わず突っ込みを入れてしまった俺だった。
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