悪食少女の非日常

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兄貴が脅すと、少女の顔は恐怖の色で染まった。

「よし、それでいいんだ」

兄貴は“このことは誰にも言うなよ”と言って落ちた指輪を拾った。

「それは・・・!!」

少女が言う。指輪の事か。

「ざんねんだったな、もうこれは俺らのだ」

兄貴が笑った、その瞬間。

「ぐ、ああああああぁぁ!?」

一瞬にして兄貴の持っていたナイフが兄貴の腹部に突き刺さる。

なんで、いったい、何が起こった!?

「それは、大事な物・・・あんたたちには渡さない」

少女が言った。
まさか、あいつがやったってのか?
そんな馬鹿な。

「私ね、最近“食事”してないの。周りはいい人たちばかりだからね。だから・・・」

“食べてもいいかしら?”
少女が笑った。

「おまえ、くるってるんじゃないのか!?」

俺は相手に叫ぶ。

「くるってないよ、ただ、好きな食べ物が人間だってだけの話」

そう言って動けないでいる兄貴の腕に噛みついた。

「う、がああああっ!」

兄貴が痛みに耐えきれず叫ぶ。
少女の口元には血液と肉片が付いていた。

冗談じゃない!あんな化け物に食われてたまるか!!

盗んだものを放り出して逃げようとするも、恐怖により足がもたついてなかなか進まない。

後ろからはぐちゃっ、という嫌な音と兄貴の悲鳴が聞こえた。

逃げなければ、殺されてしまう!!

必死になって玄関の前までたどり着く。
もう逃げられただろうか?

「この町の住人はさ、死んでも生き返るんでしょ?ちょうどよかったわ」

振り返ると少女が笑って立っていた。

「次に会うときはこんなことにならないといいね、おにーさん」

腹部に衝撃がきて、俺は何も考えらなくなった・・・。
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