悪食少女の非日常
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「で、落ち着いたところで、ファイルを開けてみるとしようぜ」
「あぁ、頼む。どんな内容かぜひ知りたいものだ」
双子の盗んだファイルか…まちがって別のものという事はないだろうな。それにしても、双子が盗めるとは、政府はどんなセキュリティでこれを守っていたのやら。
「えっと…じゃあ、読むぞ」
私たちは、ファイルをみる。
内容は以下の通りであった。
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『異形処分政策』
・幸せの町の異形を根絶やしにする。
・兵器は出来る限りにおいて通常の者を使用。新ウイルスが開発され次第、新ウイルスを用いた銃での狙撃を開始する。
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「新ウイルス…それが寿命以外での死因と見てまず間違いがないだろう。新聞にも、西地区で殺人があった際の凶器は銃と書かれていた」
「あぁ、そうだろうな…助かったぜ、俺らが襲われた時の兵士は銃は持っていなかった。このウイルスくらってたらどうなっていたやらわかんねーのな」
「兄貴、続き読めよはやく」
チッ、と。シフティは舌打ちをして読み始めた。
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『不老不死政策』
・異形たちの驚くべき回復力には、何らかの原因があると考えられる。よって、キルを除いた異形を抹殺したのちに、キルを用いて人体研究を行う。
・キルを用いるのは、父親が首都にて処刑された罪人であるのと、その家族が幸せの町に関する何らかの有力な情報を得ていることを確信しているからである。
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なんということだ…この国は、この町を潰そうとしているのか。
「なぁ、似非ヒーロー。ひとつ、いわねぇといけねーことがあるんだよな」
「…なんだい?」
「俺ら実はな、さっき、キルに助けてもらったんだよ。情けないことにな」
なんだとっ…!?
「どうして、どうしてそれを早く言わなかったのだ!!」
「俺ら、聞いたんだよ。このファイル盗む前に、兵士たちがキルを探してるっての。あいつをあのとき探していたら、余計にキルが見つかりやすくなるだろ」
リフティの申し訳なさそうな、それでもはっきりとした言葉。確かにそうだ。大人数で誰かを探してるとすれば、ファイルを盗まれた今、政府側としては私たちがキルを探しているというのはすぐわかるだろう。
たまには双子も気が回るものだ。
いや、私が気がつかなかっただけか。情けない限りだ。