悪食少女の非日常

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瓦礫の上は本当に悲惨な状態だった。心臓を抜き取られていたり、内臓が飛び出したり、頭を粉砕されている兵士たちの死体の山。

キルちゃんの小さな体のどこにそんなちからがあるんだろう。
そこはきっと考えてはいけないのよね…。

「やっぱり、怖い、ですよね…でも、悪い人に襲われてる人がいるなら、仕方ないこともあるって、スプレンディドさんに言われたです…」

だから、『食事』はこういうときだけにしようって、決めたんです。

そう彼女はぽつりと言った。
食事。彼女はどんな思いで人を食してきたんだろう。私にはわからない。けど、ちゃんと色々考えてるんだなってことだけはわかった。

「わかった。わかったから、堕ちこまなくていいよ。この町の人たちも判ってくれる。どうせ、軍人だったりヒーローだったり、元々死亡率が高いけれど、それでも皆仲良くしてるんだもの。わざと殺すわけじゃ無いキルちゃんを嫌う人なんていないわ」

最初の恐怖も、少し薄れた気がする。彼女の言葉を聞いた時、その眼には堅い決意があらわになっていたから。

私は服のポケットに入れていたハンカチで、キルちゃんの顔の血を拭き取ってあげた。

「それにしても、どうするかしらね…」

「そうですね、本当は今みたいに住人の皆さんの救助に行こうと思っていたですけど、なんだか嫌な予感がするんです…」

「そうね…此処から一番近くて今のところ被害が少なそうなのはスニフの家かしら。行ってみましょう!」

「スニフ…さん?」

?マークが浮かんでいそうな表情で、こてん、と頭を傾けている。あら、もしかしてあったこと無かったのかしら…。それなら、ちょうどいいかもしれないわね。

「スニフは、ここから先の、森に近いところに家があるの。発明が得意だから言え自体が砦みたいになっていて…とにかく、ここよりは安全だと思うから、行ってみましょう?」

そういうと、キルちゃんは笑顔で「はいですっ!」と、元気に返事をした。
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