悪食少女の非日常
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皆が話している間に僕はキルちゃんを連れて自室へと入った。
「申し訳ないね、君も折角落ち着けただろうにすぐに呼び出してしまって」
ココアを彼女の座るソファーの前にあるつくへへと起きつつ声をかける。
キルちゃんは顔を横に振った。
「いえ、大丈夫です。…話したい事とは、何でしょうか」
緊張気味の声だが子供なりに真剣そうな表情で言う彼女をみると、無理をさせたくなくて言わないほうがいいのではないだろうかという考えが浮かぶ。
しかし、これは言わなければならない。
「君がもともと住んでいた中枢都市についてなんだが、そこから兵が送られてきているのは知っているね?」
「…はい。新聞に載っていましたから」
「じゃあ、その兵士たちの中には私たちを殺す事が可能な武器を持っている人がいると言うのは?」
キルちゃんの顔が歪んでいくのが分かる。明らかに子供に聴くことではないのはわかっている。しかしここでは見た目と年齢が伴っているとは限らないし何よりこれは重要なことなんだ。
「その武器に何か仕掛けられていないかと調べてみたんだ。すると驚いた事に新種のウイルスが武器表面に塗布…塗られていたんだ。そのウイルスが原因となっているらしい」
「ういるす…ですか。どうにかならないです…?」
「君は思ったより落ち着いていられるんだね。本当に申し訳ないと思っている。でもこれしかないんだ。君に頼みがある」
その言葉に身構えるのが分かった。多少なりともおびえてるのではないかと思っていたのだが、そんなことは全くない。もしかしたら過去に何かあったのかもしれない。
きっとスプレンディドさんの言っていた“悪食”もそれが原因なのだろう。
「君に中枢都市へと向かって欲しい」
その言葉は僕にとっては言いづらいものだった。何せ、これは死の危険性がある。死ねと言ってるのと変わらない。
だがなぜなんだ。
なぜ君はそんなに嬉々とした目をこちらに向けているんだ。