悪食少女の非日常

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「まっ…て、くださいっ…。まだ、あいつはっ…」

キルが意識を取り戻したらしい。フリッピーに抱かれた状態でうめきながら降ろして、降ろしてとひたすら言ってもがいている。

「お前、何言ってんだよ。こんなに怪我してるってのに無茶すんな」

兄貴の言う通りだ。怪我がひどい。
ただでさえまだチビなんだ。出血量は半端じゃないし何時貧血で倒れても仕方がない。

「だめ…ですっ。あいつが、あいつがっ…!」

「だぁーから、何だってんだ!敵は似非ヒーローとランピーが一掃してんだぞ!」

最初にいた人数より兵士が増えてるようで、多少苦戦はしているようだが…あいつらならどうにかなるだろう。
キルがブチ切れてんのは分かる。だけど復讐なんてさせてたらこいつの身がもたねーって。

…ちょっと待て、こいつが一人で飛び出した理由って確か…。

「あいつが…かどるすくんたち…実験にっ」

そういえば、最初にいた敵の中に一人見失った奴が…。

「っ、兄貴、フリッピー!敵が一人逃げた!そいつがチビどもを実験材料にしようとしてんだよ!!」

ったく、どうするってんだ。俺らは実戦向きじゃないしスプレンディドとランピーはまだ苦戦している。
フリッピーも怪我しているから戦わせる訳には行かねぇ。
どうすればいいんだっての…。

「だから…私が…いくですっ…!!」

「あっ、ま、待ってくださいっ!!」

急に動き出したキル。いつの間に回復したやら、また素早い動きでフリッピーの腕から抜けて走り出してしまった。
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