毛探偵
□命令ごっこ。
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何てことない日常なんて、やはり来ないらしい。
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「ん‥‥」
遥が目を覚ますと、いつも通りの風景が広がっていた。もうすっかり太陽が昇っていて、昼前ぐらいだ。見ると、弥太郎がそこに居た。
「弥太‥‥、夏輝は?」
『おはようございます。夏輝は買い物に出掛けました。』
「‥‥おっさんは?」
『聡明さんはどこかへ散歩に出掛けて行きました。』
「そう‥‥。今何時?」
『10時半です。』
んん゛、と言いながら遥はベッドから体をおこす。
「ふぅ。」
『何か召し上がりになりますか?』
「いや‥‥いいや。おなか減ってないから。」
『わかりました。』
「制服持ってきて。着替える。」
『はい。』
弥太郎はいつも通り、タンスから白い制服を持ってくる。
『どうぞ。』
遥は制服を受け取った。しかし、何故だか今日は着ようとしない。
「‥‥君ってさ、僕が言うと何でもやってくれるよね。」
『遥さんは、すごい人ですから。』
「ふーん‥‥。」
遥は何だかつまらなかった。純粋にすごいと思われているなんて、嬉しいはずなのに。
今日の遥は、一言でいうなら歪んでいた。
「弥太郎」
『はい。』
遥が不適に笑う
「服」
『?』
「脱がせて?」
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