マギ
□涙が枯れるまで
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「ハッ、ハァ、ハァ、ハ」
暗闇の中、少年は走っていた。どこを見ても闇ばかりで、足元が少し見えるくらいの場所。短い銀髪を振り乱しながら、わき目もふらず。走って、走って、走って。不安に駆られたその表情は、今にも崩れてしまいそうだった。
「シン‥‥?どこ‥‥?シン‥‥?」
辺りをキョロキョロと見回すが、闇の中。人影ひとつ見えない。
「シ‥‥ン‥‥」
ついに足を止めてしまった。と同時に、身体がガタガタと震えだし、目に涙が浮かぶ。
死んだような瞳から、涙がひと粒流れ落ちた。
すると、急に暗闇から光が漏れだした。
少年はゆっくりと光の方向に目を向ける。
そこには
ひとつの人影。
少年が目を凝らすと、そこには少年が探していだシン゙が。
「‥‥ぁ、あぁあぁ、‥‥シンッ!!」
少年はこれまでにない満面の笑みを浮かべ、全速力で走り出した。
手を伸ばせば届きそうなくらい近づいた頃、
-ブシャッ-
鈍い音と共に少年の視界が真っ赤に染まる。
気が付くと、そこには大きな血だまりが。