Red×Black
□1 * お泊り
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これはある年の初夏のお話。
―――
「赤司くん」
黒子はいつものように練習の合間に休憩をとりながら、その名の主に語りかける。
「どうした?」
「あの..今日、赤司くんの家に晩ご飯をいただきに行っても宜しいでしょうか」
「ああ、もちろん構わないよ。
でもどうしてそんな急に?」
そんな当たり前の赤司の疑問を投げかけられ、黒子は少し戸惑った様子を見せた。
「昨日から両親が海外に出張で..何となく寂しくて」
理由はそれだけではなかった。
赤司くん僕は一応恋人同士なのに、何もそれらしい事をしてないではないか――と。
勿論それを言うのは恥ずかしかったし、何よりそんなことを言って赤司に引かれたくなかったのだ。
「何だ、そんな事か..
それならテツヤの両親が出張の間は僕の家に泊まるといいよ」
赤司からのそんな意外な提案に、黒子は目を丸くする。
「え..良いんですか?
お邪魔なのでは..あ、それに赤司くんの両親にも悪いです」
「大好きなテツヤが邪魔なわけがないし、両親は海外に滞在してる」
淡々とそう述べる赤司だったが、「大好き」だなんて言われた黒子は居てもたっても居られず、ただ押し黙った。
それを了承と受け取ったのか、赤司は小さく微笑むと、
「じゃあ、また後で」
と言って練習に戻って行った。
(どうしよう..嬉し過ぎてどうにかなってしまいそうです)