Red×Black

□3 * 仲
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次の日窓から差し込んできた朝日で目を覚ました黒子は、隣に赤司の姿が無い事に気がついた。


目を擦りながらリビングに向かうと、赤司がコーヒーを飲んでいるのが目にとまった。


「ああ、黒子――早起きだな」


「君こそ早起きですね..いつもこんなに早いんですか?」


「いや、テツヤの寝顔を見たくてね」


「セクハ..ラって何の略称でしたっけ」


セクハラです、と言いかけたものの赤司の黒い笑顔によって慌てて話の方向をずらす。


いや、今のは明らかに僕は悪くないだろう――黒子はそんな意を溜め息で示した。



「そう言えば買出しに行くんでしたよね

何時くらいに出るんですか?」


「今は――8時か。10時に店が開くからそれから行こうか」


「そうですね」



黒子はこの時ひそかに考えていた。




この買い物を通して、少しでも赤司と仲良くなれれば――と。















「へえ、こんな大きなデパート近くにあったんですね」


「ああ、最近出来たみたいだよ」


家を出て数分歩くと、すぐにそれなりの大きさのデパートが見えた。


赤司と黒子の家は離れているため、黒子はこのデパートには来たことが無かった。


「..ええと、ではまず何から買いましょうか」

















「..ふう、結構買ったな」


「そうですね..」


赤司と黒子の両手には、日用雑貨や趣味である読書のための本を詰めた大きな袋が下がっている。


「さすがに買いすぎましたね..まるで女子です」


「だな」


けら、と乾いた笑いを溢す赤司と黒子は、周りから見れば十分に仲の良い友達同士だった。


――もっとも、親友をも超えて2人は"恋人"であるが。


「昼飯、食べていこうか」


「そうですね..あ、マジパありましたよね?

マジパでお昼にしたいです」


「はいはい。バニラシェイク目当てだろう?」


「もちろんです」


目を輝かせてそう言う黒子を、赤司は愛おしそうに眺める。


(いつまでもこんな風に笑って居られたら良いな)


赤司はそう思いながらも、内心どこかで黒子にそれ以上を求めていたりもした。


無論、自分の事には疎い赤司はそれを自覚していなかった。







「はー..やっぱりバニラシェイクは最高です」


バニラシェイクやその他もろもろ注文した後、2人は屋外のテラスに来ていた。


休日の昼だと言うのに、肌寒いためか先客は居なかった。


「そんなに美味しいのか..甘ったるそうだが」


呆れたように溜め息を吐く赤司を見た黒子はむ、と頬を膨らませ、


「一口飲んでみてください」


ずい、とストローを自分に向ける。


こいつは間接キスとかは意識しないのか..


「ああ、有難う..

ん、意外に美味しいな」


バニラシェイクは、冷たくて甘くて疲れた体のすみずみまで染みた。


赤司の言葉に満足したらしい黒子は再びストローに口をつける。


ちぅ、と唇が色っぽく動くのを見て、赤司の中で何かが切れた。


「ん、っ..!?」


ばっと黒子からバニラシェイクを取り上げると、乱暴に唇を重ねる。


びくん、と黒子が跳ね上がれば、赤司はそのまま強引に舌をねじ込んだ。


「ふ、あかしく..んうッ」


舌を絡めたり吸ったりと、赤司の舌は黒子の口内を自由自在に侵していく。


「ん..」


「あ、ふッ..ん」


黒子は酸欠気味になりながらも、抵抗せずに居た。


あの赤司が自分からこんな欲に任せたようなキスをしたのは初めてのことだった。


くちゅ、と厭らしい音が聞こえる度に羞恥から頬が染まる。


赤司は黒子の服のボタンに手を伸ばすも、それは黒子の手によって遮られた。


「..?」


赤司が怪訝そうに唇を離すと、


「ふはあッ、はぁ、

..赤司くん、人が来ちゃいます..」


と肩で息をしながらそう訴えた。


「.......それじゃあ、

続きは今夜――だな」


「..ッ」


覚悟しとけよ、と不適な笑みを浮かべる赤司と、顔を真っ赤にして俯く黒子は、見るからに対照的だった。

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