オリジナル
□シャクナゲ「威厳」
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ある国に年若い王がいた
その姿は美しく、剣術に長け、慈悲深い王は民からの信仰が厚く、国は栄えていた
−−その王、名は「紗那」という
「紗那様、少し休まれた方がよろしいのでは?」
「そうだね、実梨。ちょうどキリがいいし、お茶にしようか」
「紗那様は本当に立派な方ですのね」
「はは、一応は勇者の子孫だからね」
「勇者様もさぞや素晴らしい方だったんでしょうねぇ……」
「ああ、そうに違いない」
−−壁に飾られた勇者の肖像画に描かれているのは紗那にそっくりの端正な顔立ちの若者
その下には達筆な文字で
『世界に光を取り戻した勇者百花』
と書いてあるのだった……