オリジナル
□オーニソガラム「純粋」
1ページ/1ページ
ある晴れた午後
どこからか漂ってくる甘い匂い
懐かしいバターの溶ける匂い
−−幼なじみの彼女からもいつも甘い匂いがしていた
「オーニソガラム!木苺のパイを焼いたから食べましょう」
ふと、我に返る
目の前には焼きたてであろう真っ赤なジャムがたっぷりのパイ
彼女はマーマレードが好きだったが……
「なにを考えてるの?」
「……故郷のことですよ」
「……ふーん、そう」
青年は仕込まれた思惑に気づかない
その真っ赤なジャムの中には、様々な感情が渦巻いているというのに……
それは、白を蝕む悪意