Encounter of fate

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涼太の部屋。

窓を開けて、新鮮で爽やかな朝の空気を目一杯吸い込む。

空には青が一面に広がり、雲ひとつない。
太陽も眩しいほど輝いている。


ふふ、良い天気。






『涼太、朝よ?
起きてくださいな。』

「ん...」





涼太は眠そうにしながら、モゾモゾと布団から出た。
布団から顔を出した金髪に、窓の外の日差しが反射する。






「おはようございますッス、姉ちゃん......って、眩しっ!?
目、目がぁぁぁ!!!」

『クスクス)おはよう、涼太。
もう、大袈裟よ。お陰で目が冴えたでしょう?』

「確かに、朝とは思えないほど冴えたッス!」

『それは良かったわ。
さあ、早く着替えてらっしゃい。朝食はもうできてますから。』

「了解ッス!」






言われて、涼太はすぐに飛び起き、制服を手に取った。

その様子を見て、涼奈は微笑みながら涼太の部屋を出た。






『私も着替えなくちゃ』






涼奈は一階のリビングにエプロンを置いて、また自分の部屋がある二階へと上がった。

部屋に入り、クローゼットの中にある制服を手に取り、着替えを始めた。
着替えながら、涼奈は緩む頬を抑えていた。



(今日から私達も、中学生なのね)



涼奈にとって、中学生になるということはとても嬉しいものだった。
初めての制服、初めての学校、そして何より、弟の成長した姿。
すべてが涼奈の心を踊らせるのに充分なものだった。

着替え終わった涼奈は、鏡で制服姿の自分を見て微笑んだ。
バッグを手に持ちドアにてをかける.....と同時に突然『あっ!』と声をあげ、慌てて机へ向かった。






『ふー、危なかった。
もう少しで忘れるところだったわ』






涼奈は安堵し、大切そうに机の上からペンダントを手に取り、首もとに着けた。
ペンダントを撫で、再びドアにてをかけた。
廊下をはや歩きで進み、階段を駆け降りた。

リビングには既に涼太がおり、椅子に座って待っていた。







『ごめんなさい!
待たしちゃったわね』

「ええ!?全然大丈夫ッスよ?!
大丈夫ッスから、そんな慌てないで!
それに、走ったら危ないッスよ!」






涼太は慌てて立ち上がり、涼奈に駆け寄った。
涼奈は一言涼太に『大丈夫よ』と言い笑いかけた。

二人は向い合わせで椅子へと座る。






『さあ食べましょう?
いただきます。』

「いたただきますッス!...モグモグ......美味しいッス!」

『ふふっ、ありがとう。
そういってもらえると朝早く起きて作った甲斐があるわ』






そういって静かに食べる涼奈とは反対に、涼太はとても美味しそうに目の前のご飯にがっつく。
そんな涼太は、心から幸せを噛み締めていた。



(あー毎日毎日こんなに幸せでいいんスかね!もう幸せすぎてこれからが怖いッス!)



涼太は満面の笑みを浮かべ涼奈を見る。
涼奈も、その視線に気付き優しく微笑んだ。
その微笑みを眩しく思いながら、涼太はふと見た首もとに疑問を覚える。






「あれ?中学でもそのペンダント着けていくんスか?」

『...ええ。これは何時でも肌身離さず持っていたいの......』

「...そう、スか」







涼太は複雑な気持ちのまま朝食を食べ終えた。
丁度涼奈も食べおわり、食器を片付けた。

二人は身支度を整え、バッグを手に取った。





「それじゃあ行ってくるッス!!」

『行ってきます』






誰もいない家のなかへそういって、二人は外に出た。

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