捕縛官カナメ・オースプレット

□喪失、孤独、失敗
1ページ/3ページ

とある時、とある場所に、とある国があった。そして今日、そこで一人の男が殺された。いや、正確には、『処刑された』が正しい。その男のは『殺人鬼』と呼ばれていたのだ。彼の死は多くの人間を安心させた。多くの人間を歓喜させた。そして―、三人の少年少女を喪失に、孤独に、失敗に、追い込んだ。




「や…やめてくれ…どうか…お願いだか
ら…」

血の染み付いた切り株の上に首を固定され、身動きが取れない囚人が無機質な目をこちらに向けて懇願する。

「……………」
        ・・・・
カナメは無言で、練習用の重たい木製の鎌を振り上げる。

「お…お願いだ…殺さないでくれ……」

人間そっくりに作られたアンドロイドが訴える。機械だが、首を絶てば血にそっくりな液体も出る。

最後のチャンスだ。絶対にばれてはいけないのだ。

「や……やめてくぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

―処刑人に必要な鉄壁の心を失ったなど―
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ