ぼやキングとリズム君の日常
□雨のち晴れ
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「あー…眠い…」
毎朝、壊れることもなく元気に鳴り響く目覚まし時計。
たまには壊れてくれと思う。
しかし、今日はいつもの目覚まし時計の他に、もう一つ聞こえてくる音がある。
耳をすますと…
いや、すますまでもなく聞こえた。
これは明らかに雨の音だ。
外を見ると季節外れの台風のような雨と風だった。
「え…今日部活あんのか?こんな天気で。ミーティングでもすんのかな…」
疑問に思ったが、橘さんからのメールはおろか、誰からのメールも電話も来ていなかった。
そこで、自分で考えても埒が明かないので深司に電話をすることにした。
Prrrr Prrrr
─「はい。もしもし。…神尾?」
「おう!!なあ今日って部活あんのか?」
─「部活?橘さんからのメールは無いからあるんじゃない?」
「えーまじかよ!!この雨で!?」
─「俺に聞かないでよ…橘さんが決めるんだから俺が知ってるわけないじゃん」
「そりゃそうだな!」
─「朝から何なの…大体、橘さんはいつも一斉送信するんだから神尾に来てないメールが俺に来るわけないじゃん…」
深司がぼやき始めそうだから(もうぼやいてるけど)素早く遮った。
「外で部活できねーから…部活あるとしたらミーティングかな?」
─「あー…そうだよね、きっと。」
「そんな話すことあんのか?」
─「さあ…わざわざ学校に集まるほどのことはないと思うんだけど。」
「だよなあ……ってうお!!もうこんな時間じゃん!」
─「…そろそろ学校行かなきゃね。部活あるなら。」
「もう学校行く準備してあんのか?」
─「まだだけど。」
「だよな!もう準備してあったらどうしようと思った!!」
─「じゃあ、また学校でね。」
「おー!!またな!」
そう言い電話を切ると、すでに時間は部活ギリギリだった。
「やべー…このままじゃ深司も遅れるよな…」
時間ギリギリまで電話に付き合ってくれた深司に感謝すると共に、お互い時間がやばいと気づく。
「リズムに乗るぜ!」
得意のスピードで急いで着替え、家を出る。
通学路を走っていると、先の方に深司が走っているのが見えた。
雨が降ってて走りづらいけど、足が速いのは俺だから難なく追い付く。
「よっ!!」
「…おはよ。」
「このままじゃ遅刻確定だな!リズム上げようぜ!」
「そんなことが出来んのは神尾だけでしょ。」
「んなことねえって!」
「しゃべる暇があるなら早く学校行こうよ。」
「そうだな!」
走りながら話すうちに、学校の校門が見えてきた。
びしょ濡れの校門をなんとか開け、コートに向かう。