サイコパス

□『きれいごと』なんか言わないで。
1ページ/3ページ


『小さい頃は他人の気持ちが解る、人として正しい道を歩んでいたのに…』



父親の言葉が夢に出るのは今回で何度目だ。

綺麗事を語る口は止まらなくて、適当に相槌を打ちながら聞き流していたのを思い出した。


『小さい頃は』って、『人として正しい道』って何だよ。

今は間違った生き方をしているとでも?

ふざけるなよ。

生き方に正しいも間違いもあるかよ。

ましてや人間なんだ。 『間違ってる』なんてそんなのは世間体の主観的観点から見た評価だろうが。

俺には関係無い。


それに、俺は成長してから他人の気持ちが解らなくなった訳じゃない。

今だって解るさ。

期待も、願いも、何となく感じるよ?


でも、俺はもう面倒臭くなったんだ。

いちいち他人の気持ちを考えて何かしてやるのが。

解ってはうえで無視してるだけ。

小さい頃は我が儘も言わず、純粋に他人を喜ばせて、余計な欲望も無くて良い子だったろ?

疲れたんだよ、俺は。

もう、自由に生きるって決めたんだ。


これで独りになっても良いさ。

仕方がない。

俺はこういう奴なんだから。

それでも、って奴だけが傍にいてくれりゃ良いよ。

無理に友達とか作りたくない。

愛想笑いはしない。

気に入らなきゃ気に入らないと言う。

ただ立場が上ってだけの奴に敬語なんか使わない。


だって、まだ小学生の頃、良い子過ぎてつまらないって言われてた。

周りの同級生がいやに幼く見えてたよ。

同じ目線でものを見られたことなんて無かったよ。


だから本当に疲れたんだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ