黒子のバスケ
□義務と、権利。
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『黄金の魔女ベアトリーチェは思うのだ。“彼らの人生は終止符を打ち、何もかもが意味を無くしてしまったのだろうか”と。
答えは否、ベアトリーチェはかの有名な台詞を引用し彼らに問うた。
“To be,or not to be:that is tha question.(生きるべきか、死すべきか、それが疑問だ)”
私には、彼らと同じく複雑で、悲しい過去が存在している。
しかし、死ぬつもりは無い。私は私であり、他人に人生を左右される筋合いは無いのだから。
私は生き、私としての一生をこの世界に刻み付けよう。
たとえいずれ忘れ去られてしまうとしても、私は今ここで生きているのだと。
その権利は、有る筈なのだ。“信じる”。私は、“信じている”。』
人生で何度目かの日記(?)を綴り、ノートを閉じる。
静寂に包まれ、アンティークばかりの部屋はまるで中世のヨーロッパを思わせる。
お気に入りの万年筆は鈍い光沢を放ち、大切に扱われている事を示した。
薄いレースのカーテンは、美しい弧を描く月を暈して見せ、知らぬ間に大分時間が過ぎていた事を気付かせる。
そろそろ夕飯の支度をしなければ、と組んでいた足を解いて軽く伸びをする。
ノートを鍵付きの引き出しに仕舞い、緩やかな動作で立ち上がると椅子がキシリ、と音を立てた。
((今晩は…カルボナーラにしましょう))