miracle☆train

□Aprile fool
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「・・・。
両国さん、なんですか、その格好。」


「おうっ。
どうだ?男子バスケットボール部のユニフォームは?」

「え…。」


話しについていけない。

両国さんが、いつもの制服ではなく、
バスケットボールのユニフォームを着てる。

そして、手にはバスケットボール。


「似合わねえか?」
「いや、そんなことないですけども。」

なぜに駅がバスケットボール?


「いや、これからは女性をエスコートするのを使命にするんじゃなくて、
バスケを使命にしていこうかってな。
車掌の旦那もジャージだぜ?」

「ええええ!!?」

女性をエスコートするんじゃなくて
バスケやるの!?

じゃあ、
じゃあ一応彼女の私はどうなっちゃうんだろう???

「なーんつってな。
冗談。」

「え?」

「今日はエイプリルフールだろ?」
「ああ。
あー、そっか。」

混乱していた頭はすぐに冷静さを取り戻した。

「私はこれを機に、両国さんに会いに来るのをやめようかと思いましたよ…。」

「えっ!?」

「冗談ですよ…。」

両国さんは「ふう」と息をつくと、
指の上で器用にボールを回し始めた。

「それにしてもよー、
嘘つく日ってのも変だよな。」
「確かに。
というか、両国さんエイプリルフール嫌いだと思ってました。」

「お、わかってるねぇ。
確かに嘘は嫌いだけどよ、
この賑わいはもはや祭だろ?
祭とくりゃぁこっちのもんよ!
騒いだもん勝ちってな!」

「あー…祭…。」

そんな考え方…。

でも、たしかに、今日はみんなこぞって嘘をつく。

わきあいあいと。

確かに楽しい。

「じゃあ、私はもう帰りますかね。」
「え!?もうかい!?」

「…嘘ですよ。」

少し意地悪に笑うと、両国さんはバツが悪そうに頭を掻いた。

「これは、大変な娘が祭りに参加してきたな。」


fin.





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