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□*媚薬*
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『岡田、食事に行かないか?』
『すいません、用事があって…』
ドラマ撮影の帰り、一緒に主演した俳優から食事に誘われたが岡田は断った。
『そうか〜、んじゃまた今度だな。お疲れ』
お疲れ様です、と軽く頭を下げてこの場を去っていく俳優の後ろ姿を見送った。
『…帰ろっと』
撮影は夜遅くまで行われ、周りは暗くなり人気も少ない。おまけに帰りの道は街灯が何本かあるだけで闇の世界にいるみたいだった。
(あ、忘れるところだった)
岡田はポケットから携帯を取り出した。
【イノッチ】へメールを送信した。
*撮影終わった、今から帰る。
今日の撮影が終わったらメールして、と井ノ原から言われていた。
『岡田さん、気を付けて帰って下さいね』
ふと後ろから声が掛かり、振り向くと女性スタッフが立っていた。
『ありがとうございます、お疲れ様』
そう言って岡田は1人、帰り始めた。
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『っさむ…』
夜の風は冷たくて肌寒い。
風が吹くと、思わず身震いしてしまう。
ジャンパーのポケットに手を入れ、道端に落ちてるタバコを見た。
ーーーーーそのときだった。
『んぐ…っ!!?』
突然、口を白い布で抑えられた。
必死に抵抗するが、岡田よりも長身の人は後ろから押さえ込んでくる。
『っふふ、いっとき眠ってね』
すぐ後ろで男の声がした。
『ふざけ…ん、な……』
岡田は意識を飛ばし、その場に崩れ落ちた。
『岡田准一…楽しみだよ』
男はそう呟いて岡田を抱え、用意してた車に乗せ、発進させた。